「ウェブバイタル」とは、Web上でのUX(ユーザー体験)を図る指標としてGoogleが定義した考え方です。なかでも、優れたUXを提供するために重要とされているのが「コアウェブバイタル(Core Web Vitals)」と呼ばれる3つの指標。
Webサイトに訪れたユーザーが、ストレスなくコンテンツを楽しむために必須の指標とされており、検索結果のランキング要素の一つです(ただし後述のとおりコアウェブバイタルの数値改善に神経質になる必要はないとされています)。
この記事では、コアウェブバイタルの各指標についての解説とSEOへの影響、そしてウェブ担当者が今後どう考えて対応していけばよいかのヒントをご紹介します。
目次
1.コアウェブバイタルの各指標
2.コアウェブバイタルの測定ツール
3.SEOへの影響
4.おまけ:SDGs観点からのコアウェブバイタル
コアウェブバイタルの各指標
コアウェブバイタルの指標はLCPとFID、CLSの3つです。それぞれの指標について確認しましょう。
LCP(Largest Contentful Paint:最大視覚コンテンツの表示時間)
出典:web.dev「Largest Contentful Paint (LCP)」
読み込みのパフォーマンスを測定するための指標。ページでもっとも大きな要素(そのページでメインとなるコンテンツ)が読み込まれるまでにかかった時間を指します。
つまり、ユーザーが検索結果のリンクまたはSNS等で共有されたリンクをタップ(クリック)してから実際にコンテンツを閲覧できるようになるまでの時間のことで、この時間が長いとユーザーにストレスを与えてしまいます。
そのため、快適なUXを提供するためには、ページの読み込みが開始されてからのLCPを2.5秒以内にする必要があるとされています。
FID(First Input Delay:初回入力までの遅延時間)
出典:web.dev「First Input Delay (FID)」
インタラクティブ性(双方向)を測定するための指標。「初回入力」とは、ユーザーがそのページ内で最初に行う動作(タップ・クリック・テキスト入力など)を指し、FIDはこれに対する反応時間を表します。
つまり、何らかの目的をもってページを訪れたユーザーが、ページ内で意図する動作をするのにかかる時間のことで、ここで待たせてしまうとユーザーはやりたいことができずにイライラすることに。
ユーザーがストレスを感じないページのFIDは、100 ミリ秒以下であるとされています。
CLS(Cumulative Layout Shift:累積レイアウト シフト数)
出典:web.dev「Cumulative Layout Shift (CLS)」
視覚的な安定性を測定するための指標。ページを読み込んでからレイアウトがどれくらいずれたかを示します。
一部のコンテンツの読み込みが遅いと、コンテンツを閲覧し始めたあとにレイアウトが動き、読もうとしていた場所からユーザーを動かしてしまうことに。こうなるとユーザーのページ上での体験は快適なものであるとはいえません。
そのため、ページのCLSは0.1 以下に維持する必要があるとされています。
コアウェブバイタルの測定ツール
コアウェブバイタルはGoogleが導入した指標なので、Googleの提供する各種ツールにて測定が可能です。
Google Search Console
Search Consoleを導入していれば、改善すべきページが一覧で表示されるので便利です。
左のメニューバーから「ウェブに関する主な指標」レポートを開きます。レポートを開くと、コアウェブバイタルの各指標ごとの診断結果が「不良」「改善が必要」「良好」で表示されます。
PageSpeed Insights
サイトへの連携が不要なツールで便利なのがPageSpeed Insightsです。
診断したいページのURLを入力すれば、項目別の結果が100点満点で返されます。ページの読み込み時間を短縮するために改善できる項目も示されるので、参考にすると良いでしょう。
Web Vitals
サイトへの連携が不要なもう一つのツールがWeb Vitalsです。
Google拡張機能で、Chromeに追加すれば診断したいページを表示して起動させるだけで、各指標のスコアが表示されます。素早く、手軽に診断したいときにおすすめです。
SEOへの影響
出典:写真AC
冒頭でお伝えしたとおり、コアウェブバイタルの数値は、検索結果への表示順位を決める要素の一つになっています。
しかし、Googleが一貫して「コンテンツが重要である」と述べているとおり、ランキングに影響を及ぼすもっとも大きな要素はコンテンツの質であることを忘れてはいけません。
ユーザーに、より快適に質の高いコンテンツを閲覧してもらうために、各指標の数値改善に取り組むのことは重要ですが、コンテンツ側に課題がある場合はそちらの改善を優先するのがおすすめです。
コアウェブバイタルの数値がいくら良くても、肝心のコテンツの質が伴っていなければ上位表示は望めないので、優先順位を間違えないように注意しましょう。
おまけ:SDGs観点からのコアウェブバイタル
UXの観点から導入されたコアウェブバイタルの指標に「LCP(ページの読み込み速度)」がありますが、実はSDGsの観点からもページの読み込み速度は重視され始めています。
それが、インターネットの利用によるCO2排出量が年々拡大して状況を受けて生まれた「サステナブルWebデザイン」という考え方。Webページやコンテンツにより発生するCO2排出量を減らすための取り組みの一つとして、ページの読み込み速度を上げて消費電力を抑えようとするものです。
SEO観点では最注力すべき対象ではないものの、ユーザーに快適な体験を提供し、地球に優しくあるために、このタイミングでぜひ自社サイトのコンディションを見直してみてください。
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Webサイト運用・運営
コラム執筆
川本 楓(かわもと ふう)
2018年メンバーズ入社。ユーザーに届くコンテンツづくりとSNS・オウンドメディア運用に従事。経験した案件は大手エネルギー企業のFacebookアカウント立ち上げおよび運用、食品メーカーのFacebook, Twitter, Instagram運用、スポーツ用品メーカーのSNS広告運用、ハウスメーカー/カード会社/食品メーカーのオウンドメディア運用など。
カテゴリ: SEO
2021年09月15日