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【事例04】オランダ発 地域コミュニティの新しい発想、リペアカフェ/サーキュラーエコノミーの実践的すすめ

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このコラムは、ケンブリッジ大学経営大学院の「循環経済プログラム」を修了した当社のシニアプロデューサーである数藤によるシリーズ企画です。企業がサーキュラーエコノミー(循環経済)を実践していくうえで、必要な知識やツール、参考になる事例を紹介していきます。

 

サーキュラーエコノミー(循環経済)を検討していくと、取組みが大きく3つの層に分かれていることに気づきます。

●プロダクト層:  商品・サービスにフォーカスして循環経済を実現する
●ビジネスモデル層:企業のビジネスモデルを循環経済に当てはめ、新たな循環経済を実現する
●エコシステム層: 企業・地域・社会全体に視野を広め社会的な循環経済エコシステムを実現する

プロダクト層とビジネスモデル層は、企業内部で完結する循環経済です。これはこれでコスト削減と売上増、資源保護と企業発展といった二律背反を達成する上でとても重要な着眼点です。その2つの層の上位概念であるエコシステム層は企業内にとどまらず業種業界、しいては社会全体への好影響を与える大きな考え方に位置づけられます。

その代表例として今回はリペアカフェという事例を紹介します。

 

目次

■1.リペアカフェとは
■2.リペアカフェのアイデアは誰から生まれた?
■3.リペアカフェって流行っているの?
■4.修理業者の競合?
■5.利用者のメリットとは?
■6.修理者ノウハウは?
■7.メーカーメリットは?
■8.最後に

 

■1.リペアカフェとは

リペアカフェは、その名のとおり Repair(修理)をしてくれる拠点です。リペアカフェが開催される場所では、修理を実行するためのツールと材料、そして修理を担当するスタッフがいます。
訪問者は家から壊れたアイテムを持ってきます。リペアカフェで自身で直すのもよし、(ボランティアなどの)専門知識をもつ方と一緒に修理を体験することもできます。したがって、学ぶべきことが常にあります。修理するものがない場合、修理を待っている場合は、ただカフェを楽しむのもいいでしょう。

開催規模や準備している修理キットにもよりますが、先行する事例では、衣料品、家具、電化製品、自転車、おもちゃなど。あらゆる分野の修理知識とスキルを備えた専門家のボランティアが参加しています。恒常的なリペアカフェもありますが、定期的・不定期的に開催する場合もあります。

 

■2.リペアカフェのアイデアは誰から生まれた?

リペアカフェは、「作る・使う・捨てる」という常識に疑問をもったオランダ在住の環境ジャーナリスト、マーティン・ポストマ氏が、製品を廃棄しない文化をつくるために始めています。彼女は、2009年10月18日にアムステルダムウェストで最初のリペアカフェを開催し大成功しました。この成功を受け、彼女はリペアカフェインターナショナル財団を設立しています。

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■3.リペアカフェって流行っているの?

リペアカフェは現在、社会における修理知識の保存と、より簡単に修理できる製品の提供に取り組んでいる世界的な運動です。オランダに加えて、ベルギー・ドイツ・フランス・英国・米国、そして世界の他の数十カ国にもリペアカフェがあります。日本にも数カ所ですがあります!

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■4.修理業者の競合?

リペアカフェインターナショナル財団によると、無料の修理が専門の修理業者の競争になるのではないか?という質問が多いそうです。

答えはまったく逆。

修理してくれる人はプロの修理業者ではありません、自分の趣味嗜好で修理ノウハウを持っている人が主役だからです。リペアカフェでは、そこにある修理キットで直せるものだけを修理します。その場で修理できないもの、修理にライセンスが必要なもの(例:電化製品)などは、適切な専門家を紹介します。
修理業者の第一次受付窓口的存在でもあり、また修理依頼リクエストを発掘する場所でもあるのです。

 

■5.利用者のメリットとは?

直すより、新しい製品を買ったほうが安い!という発想があります。コスト効率・時間効率の面ではそれもまた正しいですが、それはリニア経済の考え方です。
また、修理の専門業者を見つけることができないか、その修理が高すぎる、そこへ持ち込むのが面倒と思い、壊れたアイテムを捨てる発想に縛られています。
リペアカフェでは、捨てる代わりの方法があり、修理がとても良い選択肢であることに気づくはずです。そうメンタリティが変わるのです。

なによりも、修理を起点にしたリペアカフェで地域住民同士で会話が生まれ、新たなコミュニケーションが生まれることになります。

ただでさえ、ちょっとした修理でさえ苦手は人はごまんといます。そんなちょっとしたことをこのリペアカフェという地域コミュニティで解消できる場となるのです。

 

■6.修理者ノウハウは?

日本も高齢化が進んでいます。なかには修理のノウハウ・技術をもつ人たちもいますので、彼らが貢献できる場となります(≒シニアの活用)。また、自分の趣味嗜好から修理する楽しみを覚え、修理キットを揃えている人もいるでしょう。自身のノウハウを他人に提供し感謝される喜びは幸福感につながります。
最新の3Dスキャナーや3Dプリンターを活用した修理を進める拠点も誕生しています。

リペアカフェインターナショナル財団では世界中のリペアカフェのボランティアらの知識をデータベースに集積し共有できるようにしています。

 

■7.メーカーメリットは?

国連のグローバル電子廃棄物統計パートナーシップのレポート「The Global E-waste Monitor 2020」によると、日本では256.9万トン(2019年)の電子廃棄物が発生し、うち57万トン(2017年)が回収・リサイクルされているそうです。これは・・一人あたり平均20.4キロ(2019年)の電子廃棄物を出しているということです。

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「買って、古くなれば捨てる」「修理するより新品の購入を」というキャンペーンをはり、「素人が下手に分解することは厳禁」「修理は指定の専門業者を使え」という修理へのハードルをあげててきたのではないでしょうか。

21世紀の大量生産・大量消費型ライフスタイルはまさにリニア経済そのものです。

電気電子機器の処分方法がよく分からず、普通ごみに混ぜて捨てられてしまうなど、正しいリサイクルのプロセスを踏まずに廃棄されてしまう「Eウェイスト」も多いと思われます。このリペアカフェは新たなリサイクルプラットフォームになるのではないでしょうか?

また故障しやすい設計の見直しや、修理利便性を発見するポジティブな場所にもなる側面をもっています。メーカーもリペアカフェを積極的に展開するぐらいの度量がほしいものです。

 

■8.最後に

「捨てる文化」であるリニア経済から脱却し、循環型経済や再生型社会へ移行する上でこのリペアカフェは好事例だといえます。
参考にしてみてください。

 

循環経済を実践的に進める、プロセス、ツール、サービスを準備しました。
ご興味ございましたら、下部のプロフィールよりご連絡おまちしております。

これまでの“サーキュラーエコノミーの実践的すすめ”シリーズは、こちらよりご覧ください。

 


 

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コラム執筆

デジタルトレンドラボロゴマーク数藤 雅紀

数藤 雅紀(すとうまさのり)

シニアプロデューサー兼戦略プランナー、デジタルトレンドラボ所長
循環経済戦略プランナー(英国ケンブリッジ大学の経営大学院 Circular Economy & Sustainability Strategies修了)

 

 

大手證券、グローバルIT調査会社を経てメンバーズ入社。新規事業、国策案件、未踏案件など先例の少ない難易度の高い案件にこそ魂を燃やすタイプ。ケンブリッジ大学経営大学院循環経済プログラム修了し全力投球中。阿波踊りとフルマラソンを愛する左利きB型。

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