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サポートサイト&FAQ改善の処方箋

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~顧客の自己解決を促してコール呼数を削減~

以前、コール呼数・呼量削減は、コミュニケーションコストを抑えるのが目的でした。

しかし、コロナ禍の影響により、カスタマーセンターのオペレーター確保が厳しくなり、コスト以前に「ネガティヴな顧客体験」を生み出している可能性が高まっています。

「電話したがつながらない、長時間待たされる」「自動応答で折返し電話予約に誘導された」などなど。

果たして、顧客は電話対応によるサポートを本当に求めているのでしょうか?

わからないから電話する。でも繋がらない。

ある大手通信会社のアンケートによれば、電話問合せの理由の第一位は「調べてもわからないから」とのこと。つまり、WEBサイトのサポートページやFAQを見ても知りたい情報が見つからない、あるいは理解にいたらなかったから電話したというのです。

裏を返せば、知りたいことがちゃんとわかり、自己解決できれば電話はかけずに済む顧客は多いということです。

STEP1 「顧客は何を知りたいのか?」を知る

では、顧客は何を知りたいのか、まずそれを理解することから始めましょう。

(1)VOCデータ(問合せログ)を解析する

サポート関連の電話問合せでは、どんな商品・サービスに関するものが多いのか?またその目的は何なのか? 使い方がわからないのか、不具合や故障なのか、修理したいのか、はたまた返品・解約したいのか…。

「商品・サービス×目的」で件数ランキングを出してみましょう。

(2)サポートサイト/FAQ流入キーワードを調べる

どんな検索キーワードでサポートサイトやFAQに来訪しているのか、も重要。つまりどんな動機でサイトを訪れたかの手がかりなので、上記VOCデータ(問合せログ)を補完する情報になります。サイトで自己解決できなかったが、コールセンターがつながらず、あきらめてしまう顧客も一定数あり得るためです。

(3)FAQ内検索キーワードを調べる

FAQソリューション*を導入済みであれば、その検索ワードランキングも確認しましょう。サイト内検索ランキングからサポート系キーワードを抽出することも重要です。

*1 FAQソリューションとは、FAQの作成・運用に特化したツールで、容易にFAQの追加・メンテナンスができる。

STEP2 求められる情報をサイト内で的確に提供

電話問合せが多いのは、「情報ニーズがあるのに自己解決できない」可能性が高いと考えるべきです。STEP1での問合せ内容や検索キーワードに対する情報が、サイト内にちゃんと収載され、かつ見つかりやすい状況かどうかを検証します。

(1)コンテンツカバー率を向上

問合せ頻度の多い情報が、サイト内コンテンツとして存在しているかどうか、を表す指標がコンテンツカバー率です。これを高めていくことが自己解決につながり、特にサポートサイト、FAQの運用にはとても重要なKPIになります。

(2)ユーザビリティ課題(構造・導線)改善

情報が存在しても、顧客が見つけられなければ解決にはなりません。必要な情報にたどり着ける構造やしくみ(検索機能など)に最適化・改善することが重要です。ここはプロの第三者視点によるヒューリスティック評価が有効。構造や導線上の改善ポイントが明らかになります。

またSEO視点で、コンテンツ内キーワードが最適になっているかも確認しておきましょう。

(3)「網羅性だけではない」FAQの使い勝手

問合せの多いQAがカバーされているのは重要なのですが、運営側が様々な可能性を考え、QAを増やし過ぎることでネガティヴな結果を生む場合もあります。

あるキーワードを顧客が検索したときに、一覧に多くの結果が表示され過ぎて、探している情報が見つけられないケースがあり得るからです。これは、アクセスログに基づいて、定期的に棚卸・整理をすべきでしょう。ほとんど閲覧されていないQAは、無駄にリスト件数を増やすだけかもしれません。

(4)AIチャットボットの有用性

最近、チャットボットの導入が急激に増えてきました。「何かお困りですか?」とポップアップウインドウが立ち上がり、よく使われるキーワードを表示したり、フリーワード検索からコンテンツへ誘導してくれます。ユーザが欲しい情報へのショートカット機能として、大規模サイトや階層が深いサイトには有効な手段です。

STEP3 改善施策実施後はUXテストで検証

改善施策がある程度整ったら、実際のユーザに使ってもらい、検証しましょう。

検証ポイントは、ストレスなく自己解決できるか

テスト被験者には、電話問合せが多かった「商品・サービス×目的」をミッションとして与え、サイト内で自己解決できるか、ストレスなく短時間で情報にいきつけるかを検証します。

ユーザテストの効用は、サイト運営側が全く意識していなかった「利用者視点での迷い・わかりにくさ」に気づかせてくれることです。

STEP4 サポートサイト/FAQは定常運用で改善

冒頭にも書きましたが「つながらないコールセンター」は顧客体験価値を大きく損ないます。顧客はサポートサイトやFAQから欲しい情報さえ入手できれば、わざわざコールセンターの対応時間に合わせて電話し、オペレーターに質問しなくてもよいのです(しかも、待たされたり、つながらなかったり…)。

とても大切なのは、こうした自己解決のための改善アクションを、定常のサイト運用施策としてしっかりと組み込むこと。ふだんから自己解決の割合を上げていくことで、突発的に受電が急増した場合でも、インパクトは最小限に抑えられます。

そして、もちろん長い目で見たときには顧客満足度調査やNPS調査のスコアとして現れてくるでしょう。

 

《まとめ》

・つながらないコールセンターは、顧客にとってネガティヴ体験!

・サポートサイトやFAQで自己解決できれば十分という顧客は多い!

・問合せ内容の分析から、改善すべき「商品・サービス×目的」を知る!

・コンテンツカバー率(情報の不足)、構造・導線を改善する

・FAQは定期的な棚卸しを。閲覧されないQAは整理対象に。

・改善施策実施後は、UXテストでしっかり検証。

・定常運用に組み込み、改善を繰り返すことで顧客体験は向上する。

 

 

 

コラム執筆

中 村  大 輔 (シニアプロデューサー/戦略プランナー)
広告会社にてコピーライター、コピーディレクター、プランナーを経て、1999年メンバーズ入社。大手企業のデジタルマーケティング支援、大規模サイト構築 / 運用プロジェクトをプロデューサー/プランナーとして推進。