members

members

「共創サステナビリティ経営と、お客様と共に取り組む気候変動対策」丸井グループ:Social Good な企業とその取り組み #50

Tweet

「しあわせ」を実現するプラットフォーマーを自社の企業価値に掲げ、気候変動対策では、2030年に再生可能エネルギー100%という野心的な目標を設定する丸井グループ。今回は、お客さまと共に進める気候変動対策のお取り組み等、丸井グループさまにお話しを伺いました。

  • フロントランナーとして再生可能エネルギー100%へ野心的な目標を掲げる
  • エポスカード会員向けサービスはお客さまとの共創による脱炭素社会実現への取り組み
  • 本業を通して、社会に良い選択肢をお客さまに提供する

<インタビューにご協力頂いた方々>

株式会社丸井グループ

サステナビリティ部長 関崎 陽子 様(右)
サステナビリティ部 サステナビリティ担当 チーフリーダー 永井 英男 様(左)

 

<プロフィール>

関崎 陽子 様
1998年入社。営業店での販売、広報室、婦人靴バイヤーを経て、金融部門でサービス商品開発、カード企画担当を務める。2005年より労働組合(マルイグループユニオン)専従役員。2017年北千住マルイ店次長、2018年より中野マルイ店長を務め、2019年4月より現職。

永井 英男 様
1994年入社。営業店での販売、販売促進担当、紳士アパレルバイヤー、広報室等を経て、金融部門でクレジット・サービス商品担当を務める。2014年より総合ビルマネジメント事業のグループ会社で企画・人事担当を務め、2016年4月より現職。

 

 

●はじめに、サステナブル経営に舵を切ったきっかけを教えて下さい。

丸井は、創業者が家具の割賦販売によりビジネスを立ち上げました。その当時、家具や家電は高価なものでしたので、割賦販売により、お客さまが購入しやすい様にサービスを提供しました。その後、世の中が豊かになって家具や家電を比較的気軽に買うことができる時代になり、駅前の立地の訴求やファッションに注力したのが、現在の名誉会長、つまり二代目社長の時代です。

現在の社長は三代目となりますが、現在の経営にシフトしたきっかけは、バブル崩壊後、貸金業法改正とリーマンショックの時期に、二度の赤字を経験したことです。そうした会社の危機的な状況が、これまでのビジネスのあり方を改めて考えるきっかけになったと思っています。

これまでの若者を中心としたファッションのビジネスから、全ての人に向けたビジネスへ、また、ファッションからライフスタイル全般をカバーするビジネスへと取り組むきっかけになったと思います。二度の赤字を経験したことで、きちんとお客さまの声に耳を傾けビジネスができているのか、自分たちが売りたいものだけを売ってはいないか、を考えました。また、お客さまが求めているもの、丸井に期待しているものを理解した上で商売をしていこうという声が社内で挙がり、お客さまの声を聞くことを愚直にはじめたのが、2007年の頃でした。

また、現在のサステナビリティ部は、以前、CSR推進部という部署名でした。CSRと言えば、社会貢献が中心で、本業とは分けて考えるようなイメージがあり、そこに違和感があったのも事実です。

 

●多くの企業が、本業とCSR部門の取り組みは、分断されているケースが多い様に感じます。

丸井グループは、「本業を通じて社会貢献を行う」という考え方で取り組みを進めていましたが、世の中では、2014年~2015年頃から、ESGが注目されはじめました。

そして、丸井グループは2016年から「共創サステナビリティ経営」に舵を切りました。環境への配慮と社会課題の解決、ガバナンスの取り組みを、ビジネスと一体化して進めていく、未来志向の経営をしていくという考え方です。

 

●「共創経営レポートは、読みものとしても大変興味深く拝見させて頂きました。

レポート作成の会議を年間40回程度開催していますが、全て、青井(代表取締役社長 代表執行役員CEO)も参加していますので、トップの考えが凝縮された内容になっています。

 

テキスト

 

そうした中、日本企業として早い時期からRE100にも参加しています。また、再生可能エネルギー(以下、再エネ)100%への移行も、他企業と比較して2030年という野心的な目標を掲げています。こうした高い目標を掲げる理由を教えて頂けますか?

私たちは、お客さま、お取引先、株主・投資家、社員、地域・社会といったステークホルダーに、「将来世代」を加えています。地球環境を子どもたちや孫の世代に引き継ぐということであれば、その世代もステークホルダーであるはずと考え、「将来世代」を追加しています。

そうした考えが基本にあり、環境への対応をフロントランナーとして取り組んでいきたいという想いから、2030年に再生可能エネルギー100%にすることを目標として掲げました。将来、国内でも再エネの需要が増え、調達先に困ることも考えられますので、前倒しで早い時期に再エネに切り替えておくことも理由として挙げられます。今進めることはコスト増になるかもしれませんが、将来は必ず対応が必要となるという考えから取り組んでいます。経営層の強い意志は、サステナビリティを進めていくうえでとても重要ですし、担当としてもますます頑張ろうという気持ちになります。

 

●再エネ100%に向けて、現在の進捗状況はいかがですか?

再エネの切り替えは、2018年にスタートしています。初年度は、新宿マルイ本館 1店舗のみの対応で、再エネ率は、1%程度でした。2019年度は、8店舗に拡大し23%、2020年度は、15店舗の他、本社施設も加え、再エネ率50%達成の見込みです。当初の計画通り進んでおり、2025年に再エネ率70%が現在の目標です。

 

●再エネへの移行が順調に進んでいる要因は何ですか?

再エネの調達は、グループ企業である、マルイファシリティーズが担当しています。マルイファシリティーズの取り組みが積極的で、丸井グループが資本業務提携をしているみんな電力さまをはじめ、再エネ電力を供給してくださる電力会社さまとの共創により電力調達を進めています。

国内の電力調達事情の見通しが不透明な中、再エネ調達には多様性が求められます。現時点では、再エネ調達に正解はないと考えていますので、試行錯誤しながら進めています。

 

テキスト

 

●海外では、サプライチェーンも含め、再エネ100%を目標に掲げる企業もあります。将来のお取り組みはどの様にお考えですか?

サプライチェーンも含めた検討もはじめていますが、私たちが直接仕入れ、販売する商品の割合はわずかです。現在の店舗の大部分はテナントさまに入っていただいていますが、テナントさまの商品の生産段階の使用電力等まで再エネを働きかけるのは今後の課題だと考えています。

しかし、マルイの店舗に入居することで、環境や社会課題を解決することができるなど、テナントさまにとってもプラスになる取り組みを考えていきたいと思っています。

 

●今後は、再エネ100%を掲げるテナントさまも増えるかと思いますので、丸井さんのそうした取り組みは他社との差別化になります。

最近では、外資系企業を中心に、オフィス環境でも再エネを導入するビルへの入居を検討している様です。2020年度は15の店舗で再エネ100%を実現する見込みですので、今後はテナントさまやお客さまにも、そうした取り組みを伝えていきたいと思いますし、新しい価値訴求の1つになると考えています。

 

●ESGやサステナビリティを志向するビジネス層や機関投資家などは、丸井さんのサステナビリティ経営が広く浸透する一方で、一般消費者の認知は低いと感じています。本業を通して、一般消費者対して、再エネ導入の価値訴求やコミュニケーションは、どの様にお考えですか?

投資家の方々に対しての共創サステナビリティ経営のブランド認知は高まってきたと思います。しかし、まだ一般のお客さまには伝わっていないと感じています。サステナビリティ部門はもちろん、グループ全体の課題の一つであると考えています。お客さまに、丸井のブランドとは何かを表現し伝えていくことは、私たちの宿題です。

また、環境問題や再エネの様なテーマは、お客さまには伝わりにくいと考えています。再エネ100%であることを店舗で伝えても、お客さまが意識していなければ、目にも留めて頂けないでしょう。電気は目に見えるものではありませんし、一般のお客さまは、その電力が再エネなのか、化石燃料由来なのかまで意識しません。

そのため、私たちはこれまで、お客さまとの共創により、再エネをどの様に広げていくのかを議論してきました。みんな電力さまとのコラボレーションにより、エポスカード会員さま向けに再エネ電力をおススメするサービスを今年9月上旬からスタートしています。現在、720万人のエポスカード会員さまがいらっしゃいますので、再エネを使う選択肢があることを伝え、お客さまと一緒に、CO2の削減を進めたいと考えています。

 

テキスト

エポスカード Webサイトより

 

●自社独自の取り組みに加えて、お客さまとの共創により進めているのは素晴らしい取り組みです。

電力会社の契約を変更することは、難しそう、面倒だという意識を持たれるかと思いますが、今回は検針票をスマホで撮影しその画像をメールで送ることで契約手続きを可能としています。簡単に切り替えられることをアピールして契約を増やしていきたいと思います。

また、エポスカード会員さまと共に、2024年度までに年間100万トンのCO2削減を目指すことを目標に掲げています。こうした取り組みが社会的なインパクトにつながり、お客さまに対しても、私たちの取り組みを理解して頂けるきっかけになればと思っています。今後は、再エネ以外でも、お客さまに対するこうした活動を進めていきたいと考えています。

 

●丸井さんの強みの一つは、多くの店舗を保有していることです。今後は店舗を通して、お客さまとのコミュニケーションも積極的に進められるといいですね。

みんな電力さんとの取り組みは、店舗でもアピールすることを検討しています。

今はモノがあまり売れない時代となりました。そうした中で、私たちがお客さまに提案できるのは、ライフスタイル全般であると考えています。世の中の私たちに対する認知をすぐに変えることは容易ではありませんが、店舗やプライベートブランド、クレジットカード等の本業を通して、今後も取り組んでいきたいと思います。

 

●2030年の脱炭素社会に向け、描く未来に関してコメントを頂けますか?

丸井グループでは、「ビジネスを通じて、あらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」という、ビジョン2050を宣言しています。

世の中には様々な二項対立があります。豊かな人とそうでない人、男性と女性、健常者と障がい者等が挙げられますが、それらに区切りがない社会を、ビジネスを通して創りたいと考えています。そして、インクルージョン(包括、包含) という言葉を大切にしています。お客さまやお取引先さま、そして、地域もインクルージョンする、そうしたことをビジネスで実現したいと思っています。

丸井グループとしてできることは、社会に良い選択肢をお客さまにご提供することです。世の中には多くの社会課題がありますが、様々な課題をお客さまと一緒に解決していく、そして、全てのビジネスを社会課題解決型にしていくことです。

 

●今後10年間で、これまでは想像もしていなかったビジネスも立ち上がっていくということですね。

その必要があると考えています。必ずお客さまが真ん中にいて、お客さまと共に歩む、そんな会社でありたいと思っています。

 

 

Social Good な企業とその取り組み

Social Good な企業とその取り組み #49 :イオン
Social Good な企業とその取り組み #48 :サントリー
Social Good な企業とその取り組み #47 :LIXIL
Social Good な企業とその取り組み #46 :リコー
Social Good な企業とその取り組み #45 :日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)
Social Good な企業とその取り組み #44 :積水ハウス
Social Good な企業とその取り組み #43 :FINE
Social Good な企業とその取り組み #42 :自然電力
Social Good な企業とその取り組み #41 :みずほ銀行×アクセプト・インターナショナル
Social Good な企業とその取り組み #40 :IKEUCHI ORGANIC
Social Good な企業とその取り組み #39 :環境省
Social Good な企業とその取り組み #38 :東急ホテルズ
Social Good な企業とその取り組み #37 :横河電機
Social Good な企業とその取り組み #36 :デジタルグリッド
Social Good な企業とその取り組み #35 :大京
Social Good な企業とその取り組み #34 :LUSHジャパン
Social Good な企業とその取り組み #33 :東北大学 名誉教授
Social Good な企業とその取り組み #32 :楽天
Social Good な企業とその取り組み #31 :コモンズ投信
Social Good な企業とその取り組み #30:テーブルクロス
Social Good な企業とその取り組み #29:オリエンタルエアブリッジ
Social Good な企業とその取り組み  #28:スマートスキャン
Social Good な企業とその取り組み 自治体編 #27:壱岐市
Social Good な企業とその取り組み #25:イオンリテール × MSC(海洋管理協議会)
Social Good な企業とその取り組み #24:BIO HOTELS JAPAN
Social Good な企業とその取り組み #23:CAMPFIRE
Social Good な企業とその取り組み #22:オイシックス・ラ・大地
Social Good な企業とその取り組み #21:ボーダレス・ジャパン
Social Good な企業とその取り組み #20:日立製作所
Social Good な企業とその取り組み #19:ANA X
Social Good な企業とその取り組み #18:ファクトリエ
Social Good な企業とその取り組み #16:経済産業省
Social Good な企業とその取り組み #14:ネスレ日本
Social Good な企業とその取り組み #13:良品計画(ソーシャルグッド事業部)
Social Good な企業とその取り組み #11:セブン-イレブン・ジャパン
Social Good な企業とその取り組み #10:ギンザのサヱグサ
Social Good な企業とその取り組み #9:シチズン時計 × プラン・インターナショナル
Social Good な企業とその取り組み #8:クレディセゾン 神奈川支社
Social Good な企業とその取り組み #7(NGO編):WWFジャパン
Social Good な企業とその取り組み #6:キリンホールディングス
Social Good な企業とその取り組み #5:パタゴニア
Social Good な企業とその取り組み #4:大垣共立銀行
Social Good な企業とその取り組み #3:ヤマト運輸
Social Good な企業とその取り組み #2:アメリカン・エキスプレス
Social Good な企業とその取り組み #1:良品計画(「100の良いこと」「くらしの良品研究所」)

 

 

CSV企業戦略コンサルティングサービス

「意義あるよい事(Social Good)」を、企業・顧客・関係者との共創(エンゲージメント・マーケティング)により、マーケティング革新を起こし、社会課題の解決とビジネス目標の達成を実現します。

CSR企業戦略コンサルティング

関連情報

インタビュアー・テキスト

萩谷衞厚

萩谷衞厚

株式会社 メンバーズ
EF室 CSVデザイン
人間中心設計(HCD)スペシャリスト
日本マーケティング学会会員 サステナブル・マーケティング研究会 事務局
環境エンジニア2級

新卒入社の外資系コンピューター会社を経て、2000年より、コールセンター・CRMコンサルティング・ファーム 株式会社 テレフォニー(現 株式会社 TREE)に在籍。コールセンター構築や顧客戦略のコンサルティング業務に関わりながら、2007年以降は、環境映像Webメディア Green TV Japanの立上げ・運営に従事。メディア運営と併せて、経済産業省や環境省、文部科学省の環境に関連する政府広報や省庁プロジェクトに関わる。
前職の事業譲渡に伴い、2015年5月より、株式会社 メンバーズの100%子会社 株式会社 エンゲージメント・ファーストに在籍。Shared Value Agency®として、大手企業を中心に、様々なCSV推進プロジェクトに関わり、現在に至る。
茨城県日立市出身、人間中心設計(HCD)スペシャリスト、日本マーケティング学会会員、環境エンジニア2級
『UX × Biz Book 顧客志向のビジネス・アプローチとしてのUXデザイン』(共著)

CSV担当者向け資料

CSV企業インタビュー冊子

CSV企業インタビュー冊子

【無料進呈】ファクトリエ/オイシックス・ラ・大地/ネスレ日本/セブン-イレブン・ジャパン/キリンホールディングス/良品計画/シチズン時計/クレディセゾン/ANA X/日立製作所ほか

資料ダウンロード