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CO2排出と可視化~ルールを書き換えるEU先進企業

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前回の記事(CO2から地球環境を考える)では、なぜ地球温暖化の現象が起こるのか? CO2濃度の奇跡的なバランスにより保たれている温暖な地球環境について説明しましたが、今回は、CO2の発生源はどこか? そして、CO2削減を進めるための社会変革とも言える、EU先進企業の新たな動きをお伝えしましょう。

 

●CO2排出量の現状

はじめに、日本国内のCO2排出量の現状を把握しましょう。

今年4月に発表された、日本国温室効果ガスインベントリ報告書によれば、2013をピークに、ここ10年は年々減少。2018年度は、11億3,600万トン、前年比4.4%の減少となりました。国全体では減少トレンドではあるものの、まだまだ抜本的な減少には結びついていないのが実態です。

テキスト

日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2020年)より

 

CO2排出の内訳は、石油や石炭等の燃料を燃やすことによる排出が、実に約95%を占めていますが、産業別の割合は、以下の3部門が、全体の80%以上を占めています。
・エネルギー産業:41.6%
・製造業・建設業:23.1%
・運輸業:17.9%

産業別経年変化は以下グラフの通り。

テキスト

日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2020年)より

 

ほとんどの産業が1990年比で、10%~20%程度の削減、また運輸業がほぼ横ばいの中で、なんと全体の4割を占めるエネルギー部門が、28.2%の増加。

エネルギー基本計画によれば、すでに「非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けて取り組む」という方針が盛り込まれています。エネルギー産業のCO2排出に向けた、非化石電源へのシフトに向け、より一層の努力が必要なことが、二つのグラフから把握できます。

しかし、水力発電と併せて、再生可能エネルギーの国内電源の割合は、全体の16%程度。

テキスト

資源エネルギー庁 Webサイトより

 

EUが昨年12月に発表した、「EUグリーンディール投資計画」によれば、再生可能エネルギー事業への投資を今後10年間で12兆円規模。

一方、現在のエネルギー基本計画では、日本国内の2030年再生可能エネルギーの割合は、22~24%程度。来年度に予定されているエネルギー基本計画の見直し。日本は今、エネルギー政策と社会システムの転換が求められています。

 

●暮らしを通してCO2排出量を考える

CO2の排出量が何千t、何万tと言われても、一般生活者にとっては、なかなかイメージしにくいでしょう。ここでは、国内や産業別のCO2排出量の俯瞰に加えて、私たちは普段の生活でどれだけCO2を排出しているのかを、身近な商品を例に、概算のCO2排出量(カーボンフットプリント)を考えてみましょう。

カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したもの。身近な商品等によるカーボンフットプリントは、以下の通り。

・500mlペットボトルの水 1本:約300g
・ハンバーガー1個:約6kg
・Tシャツ1枚:約15kg
・東京⇔NY往復(旅客機排出):約7t

ちなみに、樹齢50年程度のスギ1本の年間のCO2吸収量は、Tシャツ1枚のカーボンフットプリント量とほぼ同一の量の様です。そう考えると、普段の買い物、商品選び、モノを大事に使い続けること、私たちも普段のライフスタイルも見つめ直す時期に来ていると言えます。

国内でカーボンフットプリントの制度がスタートしたのは、2009年。現在は「エコリーフ環境ラベルプログラム」として、進化を遂げ、商品によるCO2排出量等の可視化が行われています。

 

●EU企業による先進的取り組み

日本国内では、こうしたCO2の可視化に関して、一般消費者がこうしたマークが付いた商品を手に機会はまだまだ少ないかと思いますが、つい最近、EU先進企業により、今後のCO2可視化と削減の取り組みが大いに加速化すると思われる発表がありました。

 

<ユニリーバ> 請求書にCO2の記載求める(日経ESG Webサイトより)

ユニリーバでは、CO2の排出状況を把握するため、取引先に対して請求書にカーボンフットプリント排出量の記載を求め、将来的にあらゆる製品にカーボンフットプリントを明示することを発表しています。

「あらゆる企業がカーボンフットプリントを表示できるようになれば、店頭で消費者が比べられるようになり、商品の差別化につながる」

2039年までに全ての商品からのCO2排出ゼロを目指すユニリーバ。サプライチェーンも含めた社会変革、今後も同社の動きに注目です。

 

<BASF> 全製品のカーボンフットプリントを算出(BASF Webサイトより)

BASFは、ドイツに本社を構える世界最大の総合化学メーカー。化学製品の原材料を様々なメーカーやサプライヤーに提供していますが、約45,000にも及ぶ、全製品のカーボンフットプリント排出量データ提供に関するニュースリリースが今年7月に行われました。

「サステナビリティとデジタル化は、私たちが一貫して実践している企業戦略の中心的な要素です。カーボンフットプリントを算出することで、この2つの要素を同時に実現するとともに、BASFの各製品の排出量について、お客様にさらなる透明性を示すことができます。これにより、消費者向けの最終製品にいたるまでのバリューチェーンにおいて、お客様とともに二酸化炭素排出量の削減計画を構築できるようになります」

 

こうした、グローバル企業の先進的取り組み、自らルールを書き換え、積極的に気候変動対策に取り組む新しい潮流と言えます。

私たちが普段、商品購入の際にチェックする、メーカーや原材料、生産地。コンビニやスーパーに並ぶ商品全てにCO2排出量が明記されたら・・

新しいショッピングスタイルへの転換、そして、商品やサービスに、新たな気候変動対策という価値基準が求められる社会は、私たちが想像している以上に、早く訪れるかも知れません。

 

 

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萩谷衞厚

萩谷衞厚

株式会社エンゲージメント・ファースト(メンバーズグループ)
Chief Shared Value Officer
人間中心設計(HCD)スペシャリスト
日本マーケティング学会会員 サステナブル・マーケティング研究会 事務局
環境エンジニア2級

新卒入社の外資系コンピューター会社を経て、2000年より、コールセンター・CRMコンサルティング・ファーム 株式会社 テレフォニー(現 株式会社 TREE)に在籍。コールセンター構築や顧客戦略のコンサルティング業務に関わりながら、2007年以降は、環境映像Webメディア Green TV Japanの立上げ・運営に従事。メディア運営と併せて、経済産業省や環境省、文部科学省の環境に関連する政府広報や省庁プロジェクトに関わる。
前職の事業譲渡に伴い、2015年5月より、株式会社 メンバーズの100%子会社 株式会社 エンゲージメント・ファーストに在籍。Shared Value Agency®として、大手企業を中心に、様々なCSV推進プロジェクトに関わり、現在に至る。
茨城県日立市出身、人間中心設計(HCD)スペシャリスト、日本マーケティング学会会員、環境エンジニア2級
『UX × Biz Book 顧客志向のビジネス・アプローチとしてのUXデザイン』(共著)

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