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さまざまな想いが錯綜するコロナ復興基金。なるかEU財務統合、中長期的には環境とデジタル分野を中心に。

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2020/7/21 にびっくりするニュースが飛び込んできました。

EU、財政統合へ一歩 92兆円復興基金合意で亀裂に歯止め

コロナ復興基金7500億ユーロ(約92.7兆円)!
通常予算も加えると・・・・総額1.8兆ユーロ(約222.6兆円)!

すごい金額です。金額規模の大きさもそうですが、よくもまあ合意にこぎつけたものです。
このタイミングしかないと、腹を据えたドイツの粘り腰、さすがです。
そしてこの合意は、大きな歴史的意味を持つことになります。

目次

●EU統合のラストピース、財務統合
●なぜ揉めに揉めたか、なぜ合意できたか
●その巨大な歳出を何に使うか
●今後の見通し

 

●EU統合のラストピース、財務統合

EUの歴史を振り返ると次のようになります。もう27年も前なんですね・・・・(遠い目)

1993年:市場統合→ヒト・モノ・資本・サービスの移動が自由に
1998年:金融統合→欧州中央銀行設立 金融政策一本化
1999年:通貨統合→単一通貨である「ユーロ」登場

この後、2010 年に始まる欧州危機(通称ユーロ危機)が立て続けにおこります。ソブリン(ギリシャ、スペインなどいわゆるPIIGS諸国)債務問題も、金融危機・ユーロ通貨問題ともいわれています。その根本的な問題となっていたのが、財務統合の未合意。”笛吹けど踊らず”ということです。
金融政策という”笛”を音色豊かに吹いても、各国が財務政策をそれぞれ実行していたため笛に合わせて踊らなかったというわけです。
それが、今回のこのコロナ復興名義ではあるものの、基金設立に向け共通債券を発行する、つまり初めて債務の共有化に踏み切ることになります。
これは悲願の財務統合につながる大きな一歩といえます。

 

●なぜ揉めに揉めたか、なぜ合意できたか

コロナ復興に向けて財政拡大に慎重だった国があります。スウェーデン、デンマーク、オーストリア、オランダ、フィンランドです。
「倹約4カ国」と呼ばれて、確かにしっかりものの国々です。実は当初、ドイツもこちら派でした。

けれども、財政的弱者なEU加盟国に対する中国・ロシアの影響力が強まり、英国のEU離脱に続く国がでることに懸念します。
移民問題でギスギスし、自国優先主義が世界を覆うなかで「強い欧州」として存在感を示すことが重要となり、そのためにはなんとしてもEUの結束を保たねばならないという強い使命感をもったのでしょうね。

舵取りの厳しいこの時期に、ドイツにとって幸運な環境が整います。
1、EU理事会(閣僚理事会)における議長国は各EU加盟国が6カ月ごとの任期を輪番制でまわしています。2020年下期にドイツの順番が巡ってきました。
議長国という立場で、財政拡大に否定的立場から中立へ変わる国内政治的な大義名分が得たのです。
2、2019年12月に就任したフォンデアライエン欧州委員長は、任期5年にわたり、EU法に基づき、EUを運営していく立場です。彼は、2005年の第1次メルケル内閣から昨年までドイツ主要大臣を歴任しており、気心がしれた仲です。

そして来年2021年の任期限りで政界を引退する意向を示した独メルケル首相。彼女の後任がどれほどEU内で存在感が出せるのか・・・そしてついに決断します。
ドイツがそれ以前の慎重姿勢を突如転換し、5月18日にフランスと共に基金設立に向けEUの共通債券の発行を共同提案します。これで流れは決まります。

それでもカネを出し渋る北欧「倹約4カ国」。
カネはほしいが口出しをいやがる南欧。
同じくカネはほしいが、強権政治から法治国家への移行条件をいやがる東欧。
EU首脳会談はもめにもめ、過去2番目に長い計90時間以上に及ぶもののやっと合意に至ります。

 

●その巨大な歳出を何に使うか

コロナ復興基金7500億ユーロ(約92.7兆円)、通常予算も加えると総額1.8兆ユーロ(約222.6億円)もの莫大な歳出。
コロナ復興基金のうち、3900億ユーロが返済不要の補助金として、主にイタリアとスペインに拠出される見込みです。

2021~27年の中期予算に目をやると歳出計画の7本柱は次のとおり。
(1)単一市場・イノベーション・デジタル(予算規模1327億ユーロ)、
(2)団結・回復・価値<経済格差の縮小に向けた雇用や投資の促進等>(同3777億ユーロ)、
(3)天然資源・環境(同3563億ユーロ)、
(4)移民・国境管理(同226億ユーロ)、
(5)安全保障・防衛(同131億ユーロ)、
(6)隣接地域・海外<温暖化対策等の協力>(同984億ユーロ)、
(7)公共政策<国際機関の運営>(同731億ユーロ)

ざっくり解説すると、中期予算の30%は気候変動対策
これは再生可能エネルギー、電気自動車、水素や燃料電池の研究開発などに使われることを意味し、2050年の温暖ガス実質ゼロ目標達成につながります。
なおこの歳出を支える歳入としては、2021年に非再生型プラスチックへの新税導入、国境炭素税やデジタル税、金融取引税の検討などでも合意したことは注目に値しますね。

 

●今後の見通し

どちらにしても、環境とデジタル分野を中心に据えることは間違いないようです。
またこれらの施策を展開する上において、フィンテック・ブロックチェーン、さらには中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の歩みも加速していくでしょうね。

欧米のトレンドは数年後必ず日本にやってきます、
引き続き、注意深くウォッチしていきたいと思います。

 

出典&参考:
https://www.bbc.com/japanese/53484669
https://news.yahoo.co.jp/articles/f8d211da2538b6cb4eea40cf54afdd2ccedd91cf
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd4009511d3ce64454c96c34b18df1434ac3e49e
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61787210R20C20A7MM8000/

 

 

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数藤 雅紀

数藤 雅紀(すとうまさのり)

シニアプロデューサー兼戦略プランナー、デジタルトレンドラボ所長

大手證券、世界大手調査会社を経てメンバーズ入社。戦略プランナーとして、上場企業・グローバル外資企業などの大手企業のデジタル戦略・施策を支援。ネット選挙や新規事業系支援などの先鋭的案件も得意。阿波踊りとフルマラソンを愛する左利きB型。