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【セミナーレポート】世界のリーダー企業が実践するパーパス主導による経営/マーケティング-SDGsとマーケティング-#02

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メンバーズでは、企業のデジタルマーケティングご担当者さま向けに、最新事例やトレンドを盛り込んだ自社セミナーの開催や外部セミナーへの登壇を行っています。

2019年11月19日(火)に開催された「世界のリーダー企業が実践するパーパス主導による経営/マーケティング -SDGsとマーケティング-(https://marke.members.co.jp/20191119.html)」では、自社の存在意義(パーパス)を従業員や顧客などの関係者との共有の価値として明確化し、その価値に基づいた製品作り、コミュニケーション、教育を行う経営手法について、ご登壇いただきました。

第2部は、サンフランシスコ・シリコンバレーに拠点をおくJaM Japan Marketing Co-Founder/ Managing Member 大柴 ひさみ氏に、事例を交えながら、USにおけるマーケティングの潮流を語っていただきました。

異論の持つチカラ

大柴氏:(エンゲージメント・ファースト代表の)原さんとは10年くらいのお付き合いで、原さんの持っている志にひかれて、今日はパーパスについて色々話したいと思います。

イントロダクションで言いたいのは、「異論の持つチカラ」。私みたいな異分子、「何だあの人?」みたいな。これが実は、皆さんの創造力を発揮する部分で役に立つんです。(絵の中にいる鮮やかな鳥を指さしながら)これ私ですよね、分かりますよね。日本に来ると多くの人達が大体モノクロームでBlack&Whiteの服装で、同化・ユニホーム化しているなかで、私みたいにこんな帽子をかぶって派手な格好をしている人がいると目立ちます。

私自身が1番好きな言葉は、「Be myself」。私は私自身でいることが、ものすごく気持ちいいんです。だからわざとやっているわけではなくて、アメリカでもいつも帽子かぶっているわけです。なんでこれを持ってきたのかというと、人間というのは決断をするときに良いとか悪いとかで判断するわけじゃないですか。大抵悪いこと・変なことは、実際は自分自身で決断していないんです。決断する時に1番大切なのは、自分自身がこう思う・こう感じるということをやること。ソーシャルプロセスといった社会の常識、あるいは社会が同調圧力みたいな形で影響しちゃうと、自分が持っている想像力・アイデアが出ないで、周りに影響されて決断しちゃう。そういった時にこの絵のような派手な鳥がバーンとくると、みんなはびっくりした顔をします。この驚きのチカラというのが、想像力を生み出すんです。

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実は、カリフォルニア大学のバークレーの教授が実験をしていて、「青から自由に連想してください」と。そうすると、みんな自由に連想できないの。青といったら、空とか海とか、非常に常識的なことしか連想できないんです。そこに私のような人間がいきなり、「マイルス・デイヴィスしかないじゃない」といった瞬間に「あれ?何を言っているんだろう?」と。なんで青がマイルス・デイヴィスなの?と思った瞬間にみんなの想像力が広がっていく。この時に私みたいな異論の人が刺激して、驚いて、それによって創造力がはじけていく。そうすると人間はいろんな意味で、新たにソーシャルプロセスで影響されているものから解き放たれる。今日は私のプレゼンだけは、そういった風に考えてください。

グローバルの潮流 ー女性のチカラの台頭ー

グローバルな話をしますけれど、とにかく日本で1番足りないのが女性の役員。本当に今いろんなことが言われていて、これからの社会がもっとダイバーシティでインクルーシブになるには、もっと女性を活用しなければいけない。

これは最近のデータですが、2018年にアメリカではCMO(Chief Marketing Officer)の1/3がもう女性になっている。アメリカのマーケティングのカンファレンスに行くと、女性のトイレがものすごい行列になっていて大変なんです。理由は、女性は男性とちがって、自分の力関係を図らずに、いつでもスッとコミュニケーションする。男性はどうしてもヒエラルキーの中で自分が上か下かを決められないと居心地が悪くて、コミュニケーションできないんです。基本的に女性がアメリカの中でも80%くらいの購買の影響力をもっているんです。ですから、現場で女性をもっと活用する。そして、また上のところに持っていく。これが今1番大切です。

アメリカはPHD(博士号)をとるなかで、女性が53%を占めている。その理由は、建前で女性を活用するといってもなかなか男女間の格差がまだ埋まらないから。女性としてはPHDを持っていれば、男性よりちゃんと扱われるというところで、こんな数字も出てきています。

役員の話に戻るんですが、54か国で調査した女性役員が占める割合がこのデータです。日本は下から6番目で、トータルでいうと20%くらいしかいないんです。なんでこうなっているんだろうと考えなければいけないですね。

女性役員がいることによって、実は男性ばかりのボードルーム(役員室)で起きやすい、自信過剰の悪い決断が抑えられるというデータが出てきています。これは調べてみたんですが、女性役員をちゃんとハイヤーしているボードルームは、基本的には視点の多様性が広がります。

この視点の多様性というのが重要で、先ほど異論の話でもしたように、バイアスがかかってはいけない、ステレオタイプの決断をしてはいけないんです。企業というのは、常に幅広い選択肢の中からいろんな意見を吸い上げる。で、女性というのは基本的にはつるまないんです。それに比べて、男性はよくつるむ、英語でいうと「ボーイズクラブ」と言うんですが。例えばCEOが男性でそれに対して反対意見が言えなくて同調しちゃう。女性は、そこにちょっと違うんじゃないかという形で異論をはさむので、多様性がうまれる。そして、広範囲な選択肢が生まれます。

ROIにおいても、女性役員の比率が高い企業は低い企業にくらべて、66%もROIが高いといった結果を生んでいます。今日のテーマにも少し関係しますが、自信過剰な男性CEOが顕著だった業界はどこかというと、製薬会社・ソフトウェア・石炭・建設なんですね。そういった業界でも、女性役員がいると最終的に他に比べて企業の業績は、あがっているわけです。これもデータで出ているんですけれども、取締役に30%以上の女性がいる場合は、非常にイノベイティブなアイディアとして環境問題を取り上げたりするようになる。ですから、これから日本の社会がますます人口減少をふくめて社会構造が変わるときに、女性を引き上げるというのはとっても大切なことです。

グローバルの潮流 ーステレオタイプな固定概念の弊害をなくすー

私が1番嫌いなのが、ステレオタイプです。私は子供の時からそうなんですが、とにかく「女性かくあるべし」って言われるのが大嫌い。グローバルでは、ステレオタイプをどうやったらなくせるかというのが問題になっています。

これは、NIKEの例ですが。もしNIKEの人がいたらごめんなさい。Felixという女性のアスリートがNIKEと契約をしていて、妊娠したことが分かったと。そしたら、NIKEは70%のフィーのカットをすると言ったわけです。彼女はびっくりし憤りを感じて、「自分が妊娠して出産をすると、アスリートとしての機能が落ちると思っているの?」と思ったわけです。彼女はその状況をすぐに、ニューヨークタイムズに意見広告を出して、単なる女性アスリートの問題ではなくて、妊娠という女性の母性に対する問題だと問題提起をしました。当然のようにFelixはNIKEと契約せずに他の女性向けのスポーツウェアの会社と契約をしました。彼女がすごいのは、帝王切開で難産だったんですが、10か月後にちゃんと混合4×400メートルリレーで金メダルをとっています。ボルトが11個メダルを持っていて、陸上界の個人として世界記録なんですが、彼女は12個目のメダルをとって、自分自身の主張の正当性を証明しました。この一連の流れによって、母性を否定したといったNIKEに対する批判がうまれました。

「ジェンダーニュートラル」という言葉がすごく大切になってきていて、南米でも起きてきているわけです。たとえばチリでは「編む男達」という言葉があります。チリはマチズモが力を振るう男性優位の社会で、どうしても女性を低く見る文化がある。そこで、年齢も様々な男性が、公園や美術館などいろんなところで編み物をやって。自分たちは編み物をしているけれど、ゲイじゃないんだ。編み物をするのは女性だけではないんだと。編み物を通じて、男女間の格差をなくそうとしています。

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ASA(Advertising Standards Authority)というイギリスの自主規制組織が主張しているのは、メディアに露出するコンテンツそのものが従来のステレオタイプのジェンダーのやり方であっては、いつまでもそこから逃れられないと。彼らはステレオタイプなコンテンツをなくすために広告をチェックしているなかで、VolkswagenとMondelezというブランドのCMがティピカル(典型的)な男女の役割を示していてよくないと処分したわけです。

皆さんはこれ(CM)をみて多分、なぜこれが有害なのか分からないと思うんです。このCMはお父さんが子育てをするというテーマで、実際にいろんな失敗をするわけです。子育てって女性の得意なところで男性は下手だという前提で作っている。女性だって子育てがうまくない人だっていっぱいいるわけですよね。こういったCMを流すことが、ステレオタイプを作るということで処分がありました。

アメリカも然りなんですけれど、広告というのが男性目線で作りすぎていて、現実の女性と全然違うと。もしダヴの関係者がいたら申し訳ないんですが、私はダヴを昔からよく見ているんだけど、女性をエンパワーメントする広告を作り続けています。彼らは女性が自分の容姿に自信がない、女性は1人1人すばらしい美しさを持っているというテーマをずっと言い続けたわけです。でもそれは、現実の私たちから見ると「そんなことないよね、何を言ってるの」と。自分自身、自分の容姿に自信がないことはない。「自分たちが持っている良さを分かっているのに何を言っているの」と批判的な声が起きたんですね。

16歳以上の女性の67%が、自分のMasculineなキャラクターが大好き、自信を持っていると。特にアメリカは強いというのは誉め言葉なんですね。もしアメリカ人が「ひさみって弱いよね」と言ったら、私は殴り掛かりますよ本当に。強いと言われると非常に喜ぶのです。

「Generation Z」と呼ばれる次の世代の上の方、16~21歳の77%は、女性の全米サッカーチームがこの前優勝したことで、ものすごくエンカレッジされたということもありますが、世界で通用する素質をしっかりと持っていると回答しています。こういったティピカルなジェンダーに対する誤解が生まれるのは、やっぱり業界の問題があって、広告エージェンシーのクリエイティブディレクターの職ではわすが11%が女性で、これでは男性目線が中々消せません。米国では女性のリップサービスするためのエンパワーメントはもうやめようという動きが今起きています。

男女の賃金格差は年間5130億ドルあるわけですよ。いくら賃金格差をなくせと言われてもこれだけある。いまP&GのSecretという制汗剤が、女性のサッカーチームが男性サッカーチームより賃金が安く払われているんだったら、1人に23,000ドルずつあげて、23名を男性と同じ賃金にすると。これをニューヨークタイムズで意見広告で発表しました。もちろん、コーズマーケティングだと非難もあったんですけれど、余計なお金をつかってエージェンシーで高い広告を作ってカンヌを取ったと喜んでいるよりも、よっぽどこちらの方がちゃんと女性のためになっていると思います。

グローバル市場で「信念主導型の購入者」が増加

ここからもう少し今の話題になるのですが、「Belief-driven buyers」という言葉を聞いたことがある人いますか?いま、Belief-driven buyersがキーワードになって、自分の信念に基づいて購買行動を起こすという人が増えています。

これは、Edelmanが2018年にやった調査ですが、世界の消費者の中の64%が自分はBelief-driven buyersだと言っています。日本も含めて増えています。自分が信じている、価値を共有できるブランド・製品・企業を応援したい。それが消費行動につながっているわけです。何故そういうことをするのかというと、結局政府や組織が社会変革にどこまで力があるのか、力が出せるのかというと、たいして出せないわけです。言っているだけだと、ワシントンを見ていれば分かるわけですね。そうすると企業こそが逆に言うと、社会変革の力を持っていると。企業を動かすにはどうしたらいいのかというと、私たちエンドユーザーの購買行動によって企業を峻別する、それが今とっても大切なことになってきていると。

1つだけ言えるのが、日本はすぐ炎上するといって社会的な立場を企業側が表明することを避けるじゃないですか。ただ、この調査をみると、日和見が1番いけないとBelief-driven buyersは言っているわけです。自分が企業の言っていることに、同意できなくても言っただけその企業の勇気というか有言実行を認めると。1番気に食わないのが、対処する義務があるのにそれを黙認しちゃう企業・ブランドで、それらの製品は購入しないと言っているわけです。ですから、日和見とか黙っている企業・製品を支持しないくらいに、自分自身の信念で購買する人が増えています。

企業は、Belief-driven buyersとエンゲージしたいですから、色んな事をやっています。Audiが、スーパーボウルのコマーシャルで男女賃金平等キャンペーンをやったり。Dick’sは銃を売っているんですけれど、銃の購入年齢を上げたりだとか。NIKEは、Colin Kaepernickを起用して人種差別はよくないと訴えています。

NIKEに関しては、さっきも触れたようにダブルスタンダードを今言われています。ちょうど今、中国政府と香港の自由の問題が深刻化していますが、NBAのHouston RocketsのGM(ジェネラルマネージャー)が香港の自由を支持するツイートをしたんです。そうしたら、中国政府がNBAに圧力をかけてきました。NBA自体は中国で40億ドルのビジネスをしているんで、最初多少謝ったりしたんですが、どうやら中国政府はこのGMをクビにするとまで言ったそうなんです。結果として、そこまでは至らなかったですけれど。NBAもそれ以上は中国政府に屈しないと。

ところが、NIKEは騒動を発端にして、NIKEショップからHouston Rockets関連グッズを撤去して売らないようにしたんです。NIKEがいま62億ドルの売上高を中国市場であげており、NIKEは、中国政府の顔色をうかがってやってしまったんです。それを見たアメリカの消費者は、「Just Do It」とあれだけ人種差別をしないと言ったのに、ビジネス優先で中国政府に屈するってどういうこと?と。問題は、パーパスドリブンに行くならば、ダブルスタンダードしちゃだめ。企業として、本当にコミットメントが将来的に自分のビジネスで背負えるだけの一気通貫したものがないとだめということです。

利益を稼ぎつつ、世界にポジティブな影響を及ぼすことに尽力する企業

パーパスドリブンカンパニーは、どんどん増えています。どういうことがパーパスドリブンカンパニーと消費者の間で起きるかというと、強いロイヤリティを持つわけです。ロイヤリティを持つポイントは、感情的なつながりが非常に大切です。頭でつながっても結局ロイヤリティってうまれないんですよね。大切なのは、エモーショナルにつながること。

そのためには、ちゃんとしたパーパスをもっている企業が好きということです。こういったカンパニーが少し悪口を言われていたとすると、思わず弁護したりする。実際に、1度くらいミスを犯してもそれはしょうがないと。2度とやらなければそれを許してしまうといった非常にロイヤリティの高い関係がうまれます。色んなことをみんなやっています。実際に、アクセンチュアの調査によると62%の消費者が、サステナビリティや公正な雇用慣行など、現在の社会の色んな課題に立ち向かう企業を応援しているという時代です。

典型的に言われている3つの気にすべき点についてお話しします。パタゴニアがやっているのは、パタゴニアという企業そのものが最初からパーパスと事業形態をぴったりとくっつけているんです。こういったところは、まず大切。本来会社が持っているDNAに近いカルチャーとやっていることが合うかどうか。そのシナジーが合わないと無理だと思うんですよね。そうするとNIKEみたいな矛盾も生じちゃう。

あとは、長期的なコミットメントですね。Estee Lauderは、10月というのは乳がんのキャンペーンの月として、ずっと長い間キャンペーンを続けて長期間なコミットメントをしています。THE BODY SHOPは、物語、ナラティブですね。創業者がどういった思いでつくって、今どうやって消費者に語り掛けているのかという物語をずっと紡いでいます。そういった点がマーケティングのポイントとして大切だということです。

本当にアメリカみたいな強欲な企業が多いところもやっているの?というところですが、やり始めています。例えば、銃規制に対して145人のCEOが上院にレターを出して、銃規制をやるように言っています。そこには、新興のAirbnbとかDoorDashみたいなところもあれば、BloombergとかBainCapitalなど色んなところが何とか早く銃規制をしてほしいという方向に流れています。

新たな企業のPurposeを求める米国CEO達の動き

もう1つ大切なのは、CEOたちは自社PRのためでなく本気で自社のPurposeを考えて行動しているのか?ということ。今年の8月にBusiness Roundtable(BRT)というのがありまして、そこに参加したアメリカの中の181人のCEOたちが「Statement on the Purpose of a Corporation:企業のパーパスに関する宣言)」 の公開書簡を出したわけです。アメリカというのは、本当に株主至上主義ですから、株主のために働いているわけです。この書簡で、従来は、株主だけを重視していたけれど、これからは別なステークホルダー(コミュニティ・顧客・社員・ベンダー)に価値をデリバリーすることがこれからのパーパスだと言ったわけです。

中心となったワードは、“value for customers” “investing in employees”  “diversity and inclusion”“dealing fairly and ethically with suppliers” “supporting the communities in which we work” “protect the environment”。これからこういったことをやりますと言ったわけです。

でも、アメリカ人は「本当にやるの?」といつも疑うんですね。(公開書簡には)署名した全員分のサインが出ていたわけです。

例えば、AmazonのCEOのBezosもしっかりサインしていますが、矛盾だらけじゃない?というのがアメリカ人が見るところ。ここにサインした企業の多くは大企業・寡占企業が多いわけです。そうすると本当に株主以外のステークホルダーに価値を見出せるのかと。

AmazonのBezosはWhole Foodsを買収しましたが、買収直後に臨時雇用の社員のヘルスベネフィットを全て撤廃したわけですよ。それでみんなが「Whole Foodsは悪魔に魂を売っちゃったんじゃないか」と言ったんです。それで、納税もしていないですから、本当にBezosは私たちのためにやってくれるの?という気持ちになっているわけです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、アメリカのOpioidのドラッグ問題に関与して、2,000件以上の訴訟を受けて、5億7200万ドルを被害者に支払うということも起きているわけです。ですから、言っていることが出来るのかという疑問は生じています。

自社の真のPurposeを社会に還元しようとする企業

実際に出来ている企業も見つけてきたんですが、dysonですね。本当にdysonらしいなと思ったのは、2017年に大学を作ったんですよ。イギリスも今大学の授業料が高騰してきて、1997年には無料だったのが、今は年間平均で126万円くらい授業料がかかると。dysonはエンジニアが非常に必要なんですけれど、慢性的なエンジニア不足がこういった大学問題と絡んでいると。それだったら、エンジニア育成のために授業料なし、なおかつdysonから給料を払う仕組みの大学を作るために、一生懸命に政府に働きかけて許可を得てやり始めました。

ここがすごいのは、dysonは自分のところに将来来なくてもいいと言っているんです。優秀なエンジニアを育てたら、どんどんスキルを活かして、他の企業でも良いエンジニアとして働いてほしいと言っています。そこが1番パーパスというところで、長期的に消費者がdysonって筋が通っていると思える部分なんですね。実際に、ケンブリッジやオックスフォードみたいな大学を蹴ってまで、dysonの大学に入る学生が増えているわけです。dysonは、昔から創業者のJames Dysonを通じて、奨学金の支援など、エンジニア不足に取り組んできました。それでも大学教育に目を付けた理由としては、「課題ファースト」で取り組んできたからなんですね。dysonというのは、解決すべき課題が見つかったら解決のために投資してきちんとした筋道でアプローチしてきたと。それが、掃除機であろうとドライヤーであろうと教育であろうと同じだと言っているわけです。

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もう1つの事例は、IKEAです。IKEA Innovation Lab“SPACE10”というのを作ったんですね。今まで技術的なブレークスルーがいっぱいあったんだけど、それは10%の裕福な人たちだけのために存在していると。自分たちは残りの90%の人たちがイノベーションによって、価値を享受できることを作っていきたいと目標を掲げているわけです。彼らは色んな実験をラボでやっていて、いますぐビジネスに結び付けなくてもいいと。5年10年先に自分たちがやっていることが具体化されるといいだろうと言っているわけです。

言葉として面白いと思ったのは、「SPACE10は、人類が今後直面するであろう危機にIKEAがどう対応できるかを考える場として生まれました」と言っているんです。つまり、ビジネス問題を考える場じゃないと。自分たちは使命を全うするためにKPIも課されていないし、KPIと言えるものがあるとすれば、『IKEAを未来志向でイノヴェイティヴな会社にすることに貢献しているか』という主観的なものだと。

ここでは、いろんなリサーチをしているんですが、コラボレーションで成り立っていて、プロジェクトのほとんどが学生とかクリエイターとか、各分野の専門家とやっているわけです。彼らは、その分野のエキスパートになるのではなく、学び続けることが大切だと言っています。専門家も一般の人も参加することによって、遊び心のあるリサーチが出来ると。複雑な研究を分かりやすくするためには、遊び心が非常に重要だと言われています。

例えば、自律走行車をどう空間として扱うかを探求したプロジェクト「Spaces on Wheels」では、スマホでクルマの様子を見られるARアプリをつくっています。「会話のきっかけになるようなものがつくりたい。」と言っていて、90%の人のために取り組んでいると。こういったことがパーパスドリブンだと私は思います。

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消費者の価値観の変化:環境問題

それから、サステナビリティですね。(前パートで)黒須さんがおっしゃったように、価値観そのものが変わってきている。例えば、Forever21というブランドがこの前倒産したんですが、ファストファッションと呼ばれるショートタームで使い捨てするものへの価値を見出せなくなってきていると。このブランドが持つ内部の問題は色々あるんですが、やはり消費者の価値は今急速に変わってきていると。

H&Mでは、2013年から顧客に自分たちが着なくなった服を持ってきてくださいと。それを収集して、再利用するという取組みをしています。

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アメリカでGeneration Zなどの若い世代が注目しているのが、ウォッシュレス。洗わなくていい衣服を作ろうとして、実際に販売しています。例えば、1枚のシャツが数週間洗わなくていいと。これは、消費者が洗剤メーカーから洗脳されて洗わなければだめだと思い込んできたマーケティングの結果だから、別に1日2日洗わなくていいと。それをもっと洗わなくていい素材に変えていて。洗濯は、水をたくさん使って洗剤が流れるといった環境にもよくない行為だと、若い人たちがぐっと引き寄せられています。

あとは、セカンドハンド。中古・ユーズドのマーケットが、オンラインでもオフラインでも活性化しています。もっと簡便にユーズドを利用できるマーケットが若い人中心に伸びています。

ちょっと悲しいデータで、こういう時にいつもトップになるんですが。これは、最近出たデータで、日本は世界最大のプラスチック廃棄物の輸出国なんです。アメリカよりも。たとえば、コカ・コーラは年間で28,000頭のシロナガスクジラと同じくらいプラスチック廃棄物を排出しているわけです。これはよくないということです。

今色んな企業が、ダボスなどで計画をしてリユースできる容器について取り組んでいます。これももうすぐ少しずつ見えてくるでしょう。いろんな仕組みも作っています。どうやったら、今まで使い捨てていた容器をリユースできるかと。

たとえば、KLMというエアライン企業では、空を飛ぶというのは環境に負荷がかかるということで、最近のメッセージは“Fly responsibly”、責任を持って航空旅行しましょうと。彼らの取り組みとしては、短い飛行距離の場合は飛行機に乗らず列車を使ってくれと言っています。それくらいにみんなの意識が変わってきています。

世代としての特徴

Generation Zはどんな世代かという話ですが、1番顕著なのは子供のころからダイバーシティだと。人種だけではなくて、ゲイでお父さんが2人の家庭も見てきているし、養子をもらった家庭も見ていると。なので、平等に権利を与えられなければいけないと、ソーシャルメディアを使って話しています。

また、マスシューティングがあるので、非常に不安に過ごしています。それから、ミレニアル世代が多額の学生ローンを抱えて、社会に出た割には学生ローンに見合ったものを得ていないので、コンサーバティブに節約しなければいけないと。将来セーフティネットがないから。あとは、自動化とAIが来るから人生のうち5回くらいキャリアチェンジしないと、職はどんどんなくなっていく。そのためのスキルを身に着けることを今やっています。

マスシューティングというのは、毎日起こっているんですね。4人以上の負傷者が出る場合で、毎日1.2件の事件が起きているので、4人以下の規模はマスシューティングに当てはまらないと考えると、ものすごく数の銃撃事件が起きているわけです。そこで、Generation Zといわれる人たちが、本当に銃規制を何とかすると動き出しています。11歳の少女が、自分たちの命がかかっているんだと訴えています。

ここで皆さんおなじみのGretaさんを持ってきたんですが、彼女の特徴は「How dare you」という言葉を何度も使って、緊急であることを訴求している点にあります。「今すぐ何とかしてよ、私は16歳なのよ。私の命はこれにかけない限り、未来はない」と訴えています。ある人が彼女を分析したんですが、彼女はアスペルガー症候群。障害というよりは、脳の多様性といわれる「Neurodiversity」であると。「ふつう」の脳の持ち主(Neurotypical )は、何か危ないことがあると瞬間的に危険に思うけれど、それを日常生活で気を紛らわしちゃう。彼女の場合は、地球の環境問題があると、ずっと彼女の心の中にあるんです。そうすると、会話も食事もできなくなってしまう。これは、人類の進化の過程で遺伝的な多様性として埋め込まれた、種の存続のためのメカニズムではないかと推測できる。人間には、彼女のようなNeurodiversityを持つ人が必要である。こういった人が出てくると、本当に問題を何とかしなければならないと危機意識が出てくるんです。だから、これは人類のある種の遺産ではないかと分析しています。

若い子だけじゃないんです。女優のJane Fondaは、ベトナム戦争の時に反戦の女性として何度も逮捕されたりして、ものすごくアクティビストだったんです。彼女が、16歳のGretaがあそこまでやるんだったら、81歳のわたしはグランマの世代だけれど、自分が出来ることをすぐに行動に起こそうと。毎週金曜日に環境問題を訴える「Fire Drill Friday」を実施しています。ここで環境問題を早く何とかするよう議会に訴えて逮捕されるわけです。メッセージを伝えるために、著名人の抗議行動で逮捕されるという手段を取っているんですね。

GAFAの実態 ー消費者は独占化に対する警戒心を強めているー

GAFAのことを少しだけ。GAFAは、アメリカの4社で占められていて、Googleは私たちのブレイン(ナレッジ)、Facebookは私たちのハート(人間関係)。Amazonはストマック(消費行動)。Appleはプライベイト(異性への性的魅力)という形で支配されています。

Appleは、ソフトに重きを置いて少しずつうまくいっています。Facebookは、高齢化と個人情報問題があって、批判が高まっています。Facebookはリブラという仮想通貨のアソシエーションを作って、それに対する公聴会が開かれて、彼らに任せたらとんでもないことになると批判されており、今後はどうなるか分かりません。Amazonも純利益がガクッと落ちて、プライムのメンバーをキープするためにお金を使いすぎています。Amazon離れが少しずつ起きていて、Walmartが頑張ってきています。

Finally

Finallyということで、ここまで一気に飛ばしましたけれど。自分が好きな言葉を1つだけ話します。“Authenticity”という言葉をSeth Godinという人が言っています。“Authenticity, for me, is doing what you promise, not “being who you are“、要するに、「本物であること」ということは「自分が誰であるか」ということではなくて、その人が約束したことを実行することに他ならない。これがとっても大切なんですが、もしもいつもアヒルのような行動をしていたら、それはアヒルでしかないと。例えそのアヒルが自分を犬だ思っても、周囲はアヒルとしか思わないと。自分にとって「本物であること」ということは、「自分が誰であるか」ということではなく、その人が約束したことを実行することに他ならない。理由は、「自分が誰であるか」ということは非常に不定形なんですよね。その判断が中々できない。内側のヴィジョンはいつも見えにくい。それとは反対に「行動」はすべての人が見ることができると。行動の可視化のことを言っているわけです。

サステナビリティというのは、持続可能じゃないですか。ずっと続いていかなければいけないと。そうなると、言っているだけではだめで、将来的にそれをずっと伸ばしていけることが大切と。そして、有言実行です。行動を起こさない限り、ひとはそれを見れないから、企業も消費者もどうやってサステナビリティに生きるか行動に示せということを今日はいいたいと思いました。

色々とばしましたが、以上で私の説明を終わりにします。ありがとうございました。

 

以上、セミナーレポートの第2部をお送りしました。

次回のレポートでは、日本でのSDGs第一人者である株式会社Tree Chief Executive Officer 水野 雅弘氏と株式会社メンバーズ 執行役員 兼 株式会社エンゲージメント・ファースト Chief Executive Officer 原 裕のパネルディスカッションをレポートします。お楽しみに!

 

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■セミナーレポート執筆■
鈴木 萌果
2015年入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMC推進室 広報・マーケティンググループに所属。メンバーズのサービス・取り組みを伝えるべく、コラムをはじめ様々な書き物を担当。