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【セミナーレポート】世界のリーダー企業が実践するパーパス主導による経営/マーケティング-SDGsとマーケティング-#01

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メンバーズでは、企業のデジタルマーケティングご担当者さま向けに、最新事例やトレンドを盛り込んだ自社セミナーの開催や外部セミナーへの登壇を行っています。

2019年11月19日(火)に開催された「世界のリーダー企業が実践するパーパス主導による経営/マーケティング -SDGsとマーケティング-(https://marke.members.co.jp/20191119.html)」では、自社の存在意義(パーパス)を従業員や顧客などの関係者との共有の価値として明確化し、その価値に基づいた製品作り、コミュニケーション、教育を行う経営手法について、ご登壇いただきました。

第1部は、厳しいグローバル競争を営業・マーケティングのリーダーとして勝ち抜いてきた、横河電機株式会社 Chief Sustainability Officer 黒須 聡氏に登壇いただき、グローバル経営戦略に必須である「パーパス経営」と「SDGs」について語っていただきました。

黒須氏:横河電機のChief Sustainability Officerをしております黒須と申します。今日は「横河電機のパーパス経営〜SDGsを如何にビジネスで活用するか?〜」という題でお話しさせていただきます。

ちょっと前振りとして、ここに私が立つことになったきっかけなのですが。日本マーケティング学会の理事をやっておりまして、そこで「サステナブルマーケティング」という研究会があり、面白そうだなと。私は今年になって、CSOになりましたので興味があったというわけです。(エンゲージメント・ファースト代表の)原さんがパネルをやられていて、その後の飲み会で意気投合し、是非インタビューさせてほしいということで来ていただいて、素晴らしい記事を書いていただきました。その題が「サステナブルな社会を目指すお客さまのご意向は私たちの事業そのもの」で、そういった風に話したつもりはなかったのですが(笑)。非常にきれいにまとめていただいて、振り返ると全くその通りだなと意を強くしました。

私の簡単な紹介ですが、ビジネス系で営業・マーケティングあがり、現場たたき上げです。もともと横河電機は、国内8割・海外2割だった会社を現在は海外7割くらい・従業員も半分くらいは外国人といった国際的な会社になっています。そういうことをやった中で日本を飛び出て海外で戦うと、超巨大な多国籍企業、SIEMENS・ABB・Honeywellといった皆さんがご存知の数兆から十数兆の企業と戦うことになります。

そこで、マーケティングをやらないとダメだということに気が付きました。現場での限界を感じて、マーケティングの組織化をしまして、その当時だいたい2000年のはじめだったんですが、BtoBのマーケティングはすごく珍しい段階でした。珍しかったので、マーケティングジャーナルに載りまして、結果としてマーケティング大賞の奨励賞をいただきました。その辺の話もすこし、今回はマーケティングの方が多いと聞いていますのでしたいと思います。

それからサステナビリティですと、WBCSD(World Business Council For Sustainable Development)という世界で200社くらいのトップマネジメントが集まるサステナビリティの会合があります。1995年に設立された非常に歴史のある、「ISO 14000」策定に多大な貢献をした団体ですが、そういったところの理事もやっております。

Yokogawaは世界的多国籍企業とまともに戦い生き残った非常にユニークな日本企業

さて、今日のお話なんですが。まず、横河電機ってなじみのない方が多いかと思います。会社の概要と横河電機がやっているサステナビリティの取り組み、それから生々しい話として、海外を伸ばしていく中でどうやって多国籍企業と戦って勝ち抜いたのか・どうやってマーケティングが貢献したかという話をして、最後に実際にやっているサステナブルのプロジェクトの実例を話します。

概要について、これが我々が戦っている競合の図です。このでかいのが、全社の売上数値です。(SIEMENSを指さし)この単位はビリオンドルですから、だいたい10兆円ですね。これ(黄色の円)が、我々の主要ビジネスである制御オートメーションビジネスの売上です。見てもわかる通り、大体東芝が3ビリオンちょっとですから、東芝級か東芝の3~4倍の企業と日々戦っているわけです。

これを見ると非常に絶望的な絵に見えるんですが、しっかり戦って勝つところは勝つ。セグメンテーションして、ターゲティングをしたところはきちんと勝って利益を出す、そういった会社です。

数字がこんな感じで、創設が1915年なので今年で104年になります。売上が4,000億円で、特徴的なのが海外が7割くらい、主要な制御では7割を超えるくらいになっています。経常利益は、9~10%近い利益を超巨大な企業と戦って得ています。研究開発もかなり投資していて、6.5%。従業員が18,000人中60%が海外の拠点、つまり外国人の方です。自己資本比率も60%を超えています。

Yokogawaの企業理念

創始者に特徴がありまして、ソニーのような電機系のエンジニアとは違いまして、建築家なんですね。(創始者の)横河民輔は地震に強い良いビルを作りたかったんだけれど、それを正確にはかる技術がない、正確な鉄骨を作る技術がないということで。設計事務所という建築そのものを生業とする企業だけでなく、横河電機をつくる、それから「横河ブリッジ」、鉄骨・鉄筋をつくる所とかですね、産業を近代化するのに必要な企業をいくつも作ったという非常に優れた起業家でした。今残っている大きなものでは、日本橋にある三越の本店は横河民輔が設計したものです。

創業のときから、「品質第一主義」「パイオニア精神」「社会への貢献」という精神がいろんな書き物に残っていたんですが、1980年代に企業理念としてまとめようというプロジェクトが起きまして、そこで創業の精神を抽象化して、精鋭化したものがこちらです。

「YOKOGAWAは計測と制御と情報をテーマにより豊かな人間社会の実現に貢献する」という、いわゆる今のパーパスが埋め込まれていました。個人としても、「YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」というのが、30年以上前に作られたのですが、結構浸透していまして。大企業だと企業理念は壁に貼ってあるんだけど、なかなか浸透していないところが多いですが、横河電機の社員に聞くと結構覚えています。

Yokogawaのビジネス

これがビジネスの中身なんですが、制御とオートメーションで、工場の頭脳と神経の部分ですね。頭脳というのがノンストップコンピューターで、それに情報をおくるセンサーがありまして。それぞれのセンサーやコンピューターだけでは動かないですが、組み合わせる・システム化するという生業をしています。

1つの例では、オーストラリアのLNGのプロジェクトで「イクシス」というものがあるのですが、日本のINPEXさんとフランスのTOTAL社などの合弁会社で、このLNGプラントで、日本のLNGの需要の10%を1つでまかなえてしまうプロジェクトです。これをやるためには、世界中で大きなプロジェクトをやるエンジニアをそれぞれ配置して、納入したあと何十年も動きますので、そういったお客さまをサポートする組織・体制を作らなければいけないというのが、非常に大きな特徴になっています。大きなものでは、1つのプロジェクトで100億~200億を超えるような規模になっています。

これが今の主要事業である制御、それから計測。これがもともとの創立のときの事業ですが、特徴的なのが電力計ですね。こちらが電池・EVで電気自動車などの開発に使われたり。新規事業では、バイオとかライフサイエンスの事業も今やっております。売上はいま日本が3割くらい、それ以外をまんべんなく世界どこのお客さまからでも注文いただける体制になっております。

横河電機は、縁の下の力持ちのような会社なので分かりにくいんですね。先ほどの創業の精神の計測と制御と情報。これが企業ドメインなんですけれども、これを少し単純化してお話しします。

まず、物事を測る。これは分かりますよね。測ったならば、何かに使えるということで、それを多角化して制御に使った。測ったものを使って、我々が得意としているのは液体ガスですが、化学製品、薬品、食品を作るものをデータを使って測って制御する。そうやって制御すれば、いろんな情報が貯まります。その情報を使って、さらに効率よくするとかエネルギーを減らすことができると。

この3つが組み合わさったものが、横河電機のビジネスのドメイン。特にこの制御は、測ったデータを使うということで、もともとは工場の中で貯まったデータなんですけれども、情報というのは色々なものに使えますので、どんどん広まっておりまして、工場と工場だけではなく、それが地域、国、世界といった社会に広がっています。

Yokogawaのサステナビリティへの取り組み

そして、サステナビリティの取り組みなんですが。ざっと歴史を振り返りますと、起源はやはり企業理念の制定だと思っていまして、そこではパーパスが明文化されて、色んなことが始まったと思っています。90年代には、環境の専門部署である「地球環境室」を設立し、そこでISO14000の対応などを行いました。2000年に入りますと、CSRの専任部署を設立し、国連グローバルコンパクトに参加しています。最近では、2017年にWBCSD (World Business Council for Sustainable Development)に参加しております。同年に2050年に向けたサステナビリティ目標”Three Goals”というものを設定しております。昨年になりますと、主要なESGインデックス、Dow Jonesとかそういった目標のインデックスにほとんど全て採用されました。今年になりますと、「世界で最も持続可能な100社(Global 100)」にも選ばれております。

サステナビリティ目標”Three Goals”

こちらはサステナビリティレポートというものからとってきているので、字は読まないでいただいて結構なんですけれども。我々の”Three Goals”というのは、持続可能性の3側面である環境・社会・経済に対応したゴールになっています。具体的には、環境面では気候変動への対応ということで、Net-zero Emissionsの実現。社会では、すべての人の豊かな生活、Well-being。経済では、資源循環と効率化、Circular Economyという3つのゴールをあげまして、具体的な数値目標を決めました。その目標というのは当然社会の問題ですので、我々だけでは出来ないということで、数値目標というのは我々がお客さまと共につくると。BtoB企業ですから、お客様と一緒にお客さまのプラントのエネルギーを削減して、それが環境に与える影響として、どれくらいのCO2削減になるかということですね。価値創造ストーリーとして作り、ブレイクダウンして具体的なソリューションに紐づけているのが特徴的なところだと思います。

1つ目の環境に関しては、CO2排出量の削減(の貢献量は)、10億トン。これは昨年から2030年までの累計でやろうと。具体的には、再生可能エネルギーに関するソリューションということで、例えば風力発電では、中国の大手風力発電企業の発電装置のコントローラーに横河電機の装置が埋め込まれていると。なかなか風力というのは安定せずそれがグリッドに悪い影響を与えるので、日本ではそれを群管理して風車をみんなつないで、バッテリーを組み合わせて最適な電力を生成するというソリューションもやっています。あとは、バイオマス発電とか新しいエネルギーをどうするかということもやっています。あとは、アリゾナのメガソーラーの広域管理をやったりだとか。

もう1つ非常に大きいのは、エネルギーがなかなか簡単に転換できないという中で、石炭はもうだめで、石炭から石油・ガスという大きな流れがあるんですけれども、その中で現在1番安く大量に手に入るガスですね。カーボンフットプリントの比較的少ないガスに対しての制御などのビジネスをやっておりまして。ガスの制御オートメーションでは、横河電機は世界トップシェアを持っています。これが最初のNet-zero Emissionsに対する貢献ですね。我々がやったソリューションが、お客さまそれから社会にどれくらいの影響を与えるかというところで、最終的には10億トンのCO2を削減してくと。

2番目のWell-beingは、1兆円の価値をお客さまと一緒になって作っていくということで。我々の制御装置は、世界中のインフラを支えておりますので、もし横河電機がつぶれたら世界の工場が止まるといっても過言ではない。そういった我々のベースビジネスの安全性を向上したりとか。特に化学プラントは非常に危険なので、何かあると爆発して人命にかかわると。そういったところをしっかりと抑えていくような我々のベースになるビジネス以外にも、先ほど言いましたような医薬品・食品を効率的に生産するであるとか。新しく薬品を作るというところの開発にも貢献するようなソリューションを今進めています。

最後の資源循環。これは我々のベースビジネスであるプラントですね。これをながく資産を有効利用して、あまりお金や資源をかけずに回していく。それ以外にも、最近では新興国では品質の高い水へのアクセスというのが非常に問題になっていまして。例えば、インドでスマートシティプロジェクトをやっているんですが、そこで1000万人以上のインド人の方の水処理を一緒にやるというプロジェクトをしています。これも我々とインドのジャイプール市と一緒にやることによって、これだけの価値をインドの皆さんに与えると。そして、(資源循環の目標として)1兆円を2030年までに創出しようとしています。

3つの主要なゴールを立てまして、それに対するソリューションを作りまして、今数値化をしながらギャップを見ながら、新しいソリューションをつくったりというのをまわしているところです。

制御ビジネス競合変遷

それでは、ちょっと生々しい話でマーケティングでどうやって戦ったのかという話をします。競合が最終的に6社残ったんですけれども、我々が本格的に海外をやろうといった1990年代は30社くらいあったんですね。それが、5年後には10社食われて、それから5年ちょっと経つと10社以上減って6社になったという。非常に凄まじいM&Aが起きたのがこの時代ですね。我々はこのへん(1990年代)から参入して、何とか生き延びてきたんですが、我々が1番小さいわけです。先ほどいった通り、(競合他社は)数兆円から十数兆円の企業ばかりと。

規模約10倍の多国籍競合企業が、本気で潰しに来る

ここで何が起きたかといいますと、あるアメリカの企業なんですけれども、(横河電機に対して)「死んでしまえ」と(キャンペーンをした)。アメリカというのはすごい国で、日本だとそんなにひどいことはしないだろうと思うんですが、むこうは非常にアグレッシブなところがありまして。営業マンに横河電機をぐちゃぐちゃに足で踏みつぶすような絵を作ってみんなに配ったりだとか。

このキャンペーン自体も怖いことなんですけれども、その前に起きたことが我々は日本のメーカーなので、品質はすごくいい。製品に絶対の自信があったし、性能もいいし。意外とうけたのが、逃げずにやり続けること。欧米の企業は、儲からなかったら逃げちゃうとか、何かあったらお客さんに請求書をたたきつけていなくなるとかあるんですけど、横河電機はいいかどうかは別として、赤字でもちゃんとやり遂げて後からお金をもらうと。「損して得取れ」的な日本のやり方をしてきた。これがうけたんだけれども、あるところでそれでは勝てない状況が起きました。物は良くて、我々がやっていることも正しいのに、注文が取れない。非常に重要なプロジェクトを連続して落とすということが続いたんですね。

それで聞いてみると、SIEMENSでもABBでもEMERSONでも会社としてのブランドがあって、知名度が高い会社でありながら、さらにその中で商品群のブランド、コンセプトブランドを持っているわけですね。EMERSONの場合は、「Plantweb」という。そのころネットワークが流行ってきたので、色々なものをつなげて価値を出すとか。Honeywellは、「TotalPlant」といったブランドですとか。

横河電機に聞くとみんなバラバラ。製品担当者がバラバラなことを言っていて、ビジョンは何かと聞くと、ある人はセンサーのビジョンを言って、別の人はシステムのビジョンを。これが非常に大きな問題になってきて、組織的にバラバラだったので、何とかしてくれという意見が海外拠点から出てきて、本社何とかしろとかなり突き上げを食らいました。それでないと負けてしまうと。物は良いから、じゃあ安くしようかと言うと、それは違うんだと。非常にずれた状態がしばらく続きました。

外部コンサルによる客観的分析

それで、よく調べてみると「Kill Yokogawa」キャンペーンをやって、すべての営業マンがアタックしてくるという体制まで(E社は)整えていたと。非常にこれはやばいということで、外部のコンサルを使いながら分析をしてみました。それから、お客さんに対するヒアリングもしまして。これは、お客さまに対するエンゲージメントのプロセスですが、ATTRACT、INTERACT、RETAIN、NETWORKということで。欧米の企業というのはプロモーションが上手なので、それからブランドイメージが全然違いますよね。知名度が全然違うと。そういうところに訴えられて、注文まで取っていかれちゃうと。ところがヒアリングしてみると、欧米企業のお客さんは必ずしも製品に満足していなかったんです。

逆に横河電機は、認知度がないのでなかなか買ってくれないんですけれど、買ってくれたお客さんは素晴らしいと。特に、危険性の高い化学プラントは信頼性や安定性がマストなんですね。人の死に関わるので。ということで、我々の商品を買ってくれたお客さまは「この製品いいから使ってみなよ」ということで、口コミで広めてくれていたわけです。

であれば、欧米企業をマネするというよりは強みをうまく出す。強みというのは、商品だけでなく、逃げないとかちゃんとやり切るといった日本的な文化が支えているんですよね。商品の品質だけではなくて、お客さんに対する対応が。「三方良し」や「損して得取れ」といった日本的な文化がうけました。

対外的イメージのポジショニング

で、どこを狙おうかと。これはマーケティングの2軸ですね。セールスマン、クラフトマン、内向的、攻撃的ということで。(右上を指さしながら)欧米他社は間違いなくここですね。すごく議論があって、ここ(右上)を目指すのかと。速攻でそれは無理だと。日本の会社がここをやっても無理、それから殺せというような営業マンをマネするのは嫌だと。

そうなるとせいぜいここ(中央)だと。でもそれだと一生後追い。

たくさんの議論の末、得られた結果は、アグレッシブクラフトマン(右下)というポジションです。どう思いますか、これ?かっこ悪いですよね。アグレッシブなクラフトマンって何ですかという。物がいいという点は変えずに、アグレッシブにやるとどうかということで、それに対するコンセプトの言葉を探しました。考えに考えていったのが、非常に何というか変な言葉で。

企業文化(=人)を一つのプランドロゴに凝縮:”ヴィジランス”

「ヴィジランス」という言葉にしたと。これ、知っている方いますか?単語を知っている方?あんまりいないですね。これは、警戒とか寝ずの番とか、徹夜っていう意味もあるんです。これには賛否両論があって、(単語も)難しいし、マーケティング的に本当に使えるのかと。これが、「お客さまの製造設備を24時間365日稼働保証するBtoBに生きる横河電機の使命感」だということでやったんですけれど。

各地の地域本社を軸に世界展開を開始

これが、社内でものすごくうけたんです。今まで、物はよいと皆分かっていたんですね。けれども、(注文が)取れなかった。逃げずにやる、お客さまを守り続けるといった文化を大切にすることを体現する言葉を出した途端に、世界中でこのロゴを張り付けながら展示会からなにまで全てやりました。これは、ブラジルの従業員が自ら作ったロゴ入りうちわを持っています。イギリスでは、トラックまで作って走り回ったと。世界中がものすごく盛り上がったんですね。ちょっと意外でした。かなり最初は苦労すると思ったんですが。

企業文化(=人)ブランディングから、ソリューションブランディングへ

これがうまくいったおかげで、人とか企業のブランドを今度は競合他社がやっているような、ソリューションのブランド、横河電機がヴィジラントな価値を提供するお客さまの決して止まらないようなプラントということで「vigilantplant」という進化的なブランディングをしたんですね。

客先接点を隙間無く埋めた、販促資料やイベントの実施

言葉だけじゃなくて、お客さまのエンゲージメントプロセスすべてに対して、プロフェッショナルなマテリアルをすべて作りまして、オンライン・オフライン、それからトレーニング、イベントというのを全部。これが非常に効果が出まして、いろんな所で取り上げられてその結果、日本でもマーケティング協会で賞をいただきました。

これを後になって振り返ってみると、これだったのかなと。

先ほどの2軸でもありました通り、競合他社はマーケティングがうまくて、宣伝がうまくて、お客さんを洗脳してマインドシェアをとって、それで物を押し込んでいくということだったんですが。我々は、強みである逃げずにやり遂げるとか、そういった人たちがつくる非常に良い製品、多少過剰品質といわれようが、お客さまのプラントが安全に稼働するのであればこれだというのを愚直にやり続けた。というのを、ブランド化したのが何故か外国人にうけた。ヴィジランスキャンペーンをやったときに、海外から先にうけまして、ヨーロッパから先に火がついて、アメリカに火がついて、アジアに火がついて、1番遅れたのが日本。そういった形で海外から飛び出てくれたということで。

考えてみれば我々の根本となる部分、品質がいいとか日本人はちゃんとやってくれるというところは、横河電機の価値観ではなくて、日本の価値観であり日本のBtoB企業の価値観なんですよね。それをうまい具合にブランディングして、それを色んなものでちゃんと埋めたと。それで、世界がひとつにまとまる経験をしました。

海外売上トレンド

それで、何が起きたかというと、やり始めたのがこのへん(1990年代)なんですね。大体1000億円近辺をうろうろしていたと。キャンペーンをやって、それが2500億円近くまであがったと。リーマンショックで1度落ちましたけれども、今3000億を目指す規模になっていると。世界がひとつにまとまり、このときにマーケティングの組織がなかったので、タスクフォースを始めちゃったんですがすぐに行き詰りまして、そして1人増え2人増えと、この辺(2003年ごろ)で50人ほどの専任組織に。これは日本のBtoB企業で50人のフルタイムのマーケターを持っているのは非常に珍しくて、日本マーケティング協会で賞をいただきました。

マーケターの部門なんですけれど、横河電機がやってきたこととしては、生業として制御システムというのはシステムとして組み合わせないといけない。納入した後、20年30年動き続けるわけですね。例えば、カメラであれば売ってしまえばいいんですけれど、我々はその後残り続けて、それが安心安全に効率よく動き始めるとなると、導入した後ちゃんと現地人がサポートしていかないと我々の価値はお客さまには届かないと。そういった現地人をトレーニングするとか社会に貢献するというのがビジネスの1部としてエンベッドされているんですね。

そのパイが7割増えたなかで、色々な社会貢献をローカルレベルでやっておりまして、1番コモンなのはトレーニング。これは、南アフリカですが、15歳~20歳の半分以上が失業しているという国の中でインターンシップをとって、制御システムの最新のテクノロジーを教えて、90人のインターンシップで4人に1人が横河電機に残っていただいて。また他にいたインターンシップの方もお客さんに行ったり、政府系に行ったりだとか。こういったことを世界中で行っています。それ以外にも、起業支援だとか中国の中の体制の改善をやっていますので、サステナビリティが我々にとって非常に親和性がある。もともとの企業理念のようなものがあって、それが世界に対しての貢献というものがあり、こういった地域貢献に結びついていると。

お客さまにとっての真のビジネスパートナーへ

今何が起きているかというと、オートメーションサプライヤーから信頼できるビジネスパートナーになろうということで、さらに業態を進化させようとしていて。

メーカーからソリューションプロバイダーへ

数年前に横河電機がいくつかの会社を買収していまして、省エネができるコンサル会社であるとか、ソフトウェア、それらをつなげるようなITサービス会社というのも買っております。

お客さまのビジネス全体への貢献を目指して

そういった対象を使いまして、プラントからさらに社会に進化させるということですべてのものを有機的につなげる「Synaptic Business Automation」というコンセプトを実現しています。

メーカーから社会課題を解決するソリューションプロバイダーへ

ということで、もともと日本の心、パーパスをブランド化して、それをソリューションブランディングして、それを工場レベルから今社会レベル・世界レベルにしようとしています。

持続可能な社会を実現する新エネルギー分野への取り組み

最後にですね、プラントから社会に広がるということで、どういったことをやっているかの例をお見せします。これが俯瞰図なんですが、太陽エネルギーを含めた循環社会の中で、たとえばバイオマスを使ったエネルギーをどう循環させるか、それから排熱をどう利用するか、先ほど言いました風力発電、スマートコミュニティ。今日はスマートコミュニティの話を少しして終わろうと思います。

EMSが繋ぐ電力供給者と需要家

これが、EMS(エネルギーマネジメントシステム)というものの概念図なんですが、簡単に言うと、供給は電気エネルギーや熱に対して、それを需要側とどう結びつけて、効率化するかというのが、エネルギーマネジメントシステムということで。最初は工場レベルでやっていたんですけれど、コミュニティのレベルでやろうと今いくつかのプロジェクトをやっています。

F-グリッド

最初の例は、トヨタさんと宮城でやっている「F-グリッド」というプロジェクトです。実際に電力を作っている、電力プラントとガスの電力発電プラント、それからリニューアブルな太陽光発電といった発電の場とお客さま、工場だけではなくベジ・ドリームやすかいらーくなどのビルやコミュニティをつなげまして、最適にデマンドとサプライを管理すると。これを実証実験しまして、大体20%くらいのエネルギーを削減できると。つまり20%のCO2が削減できたということです。

2つ目の例は、最近やっている例で、下川町という北海道の80%以上が森林のバイオビレッジというものがあるんですけれど、そこで熱をバイオマスでつくりまして、循環させるというプロジェクトをお客さまとやっています。実際に、下川町そのものがバイオマスをつかったサーキュラーエコノミーをやっていくなかで、そういったものを見える化することによって、需給バランス等で大きな改善ポテンシャルがあることが分かりました。コミュニティレベルの1つの林業の街そのもので循環社会を作ろうとしています。

最後が今年始まったばかりのプロジェクトなんですが、買収したコンサル会社とIT会社を使いまして、シンガポールに国レベルでプラントのうえにEMSをのせまして、これをつなげまして国レベルで省エネしましょうといったプロジェクトを進めています。

まとめ

まとめです。サステナビリティというのは、我々にとっては非常に大きなビジネスチャンスであると思っていまして。私の仕事というのは、そういったことをやっている色々な部門を横断でまとめて、我々の業態そのものとうまくつなげまして、お客さんへうまくアピールすると共に実際にサステナブルな社会に対する貢献をしていくと。

その1つの大きなポイントというのが、我々だけではなく日本の強み、日本が持っている循環社会に対する考え方。もともと江戸時代は完全なサーキュラーエコノミーだったのが、西洋化して色々なエネルギーを大量に使う社会が来てしまっているわけですが。もともとは「もったいない」といった価値観は世界に通用するので、横河電機のようにお客さま企業に貢献することを生業とする会社というのは、そういったものを使えば、それ自体が会社を動かすパーパスベースのイニシアティブになると。

そういったイニシアティブを広げていけば、社会はもっと良くなると思っていまして、特に日本の企業の方で日本の価値がサステナビリティに活きると思っている会社と話をして、All Japanでサステナビリティの精神を広めて世界をより良い場所にできるんじゃないかと思っています。

以上で私の説明を終わりにします。ありがとうございました。

 

次回のレポートでは、アメリカでミレニアル層向けのマーケティングを行なっているマーケター、JaM Japan Marketing Co-Founder/ Managing Member 大柴 ひさみ氏の講演をレポートします。お楽しみに!

 

本セミナーの資料は、下記よりダウンロードいただけます。

横河電機のパーパス経営~SDGsを如何にビジネスで活用するか?

横河電機のパーパス経営~SDGsを如何にビジネスで活用するか?~

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■セミナーレポート執筆■
鈴木 萌果
2015年入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMC推進室 広報・マーケティンググループに所属。メンバーズのサービス・取り組みを伝えるべく、コラムをはじめ様々な書き物を担当。