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【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #03

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メンバーズでは、企業のデジタルマーケティングご担当者さま向けに、最新事例やトレンドを盛り込んだ自社セミナーの開催や外部セミナーへの登壇を行っています。

2019年8月30日(金)に開催された「第6回 Marketing Special DAY」では、「MA(マーケティングオートメーション)の黒字化を考える」をテーマに新生銀行さま・SMBC信託銀行さま・ジェーシービーさまにご登壇いただき、パネルディスカッションを行いました。

それぞれ企業さまが苦労している点や課題解決の進め方など、現場責任者だからこそお伝えできる超リアルな実態。本コラムではそんな当日の模様を、全3部に分けてレポートします。

 

第1部では、「MA導入の背景」や「現在のMA運用状況」をお話しいただきました。

【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #01

 

第2部は、本セッションのメインテーマである「MAの黒字化はできているか」「現在の収益・コストの割合」をお話しいただきました。

【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #02

 

最終回の第3部は、「MA導入前に戻れるなら、気を付けたいポイント」や「業界へのメッセージ・今後の抱負」などを伺います。本パートは、MA導入を検討している方にとって参考となるお話かと思います。また、来場者の方からの質問にもお答えしています。

 

 

MA導入前に戻れるなら、気を付けたいポイント

福島:MA導入を始める前に戻れると仮定して、最初にやるべきベストパターンや特に気をつけたい点を教えていただけますか?

酒井氏(SMBC信託銀行):大きなところで3つあります。

1つ目は、インプリの際のベンダーさんの選び方・組み方です。実は、弊社はインプリを一度失敗しています。とあるベンダーさんと契約をしたんですが、不幸にもベンダーさん側で異動や退職があり、インプリがうまく進まなくなってしまったんです。その後、別のベンダーさんにお願いして、何とか成功できました。MAは新しい領域で、ベンダーさんの中でも実際に触れる人が少ないんですよね。かつ人材の流動性が高い。そういうリスクを踏まえて、体制や進め方を作っておけると良かったかなと思います。

2つ目は、MAのインプリや運用に必要なスキルセットや体制を事前に把握・整理しておくべきだったという点です。最近は、b-dashのように誰でも簡単に触れるツールが出てきていますが、MAは自動化の背景にある技術の理解が必要だと思っています。メールだけ作れると良いのではなく、データベースやフロントエンドに対する知識がないとうまく運用できません。一方で、銀行のビジネスサイドにそういう人材はほとんどいないんですね。その中で適材適所の人を巻き込むか、外部から採用してくるか、リスクを踏まえて考えていけると良かったかなと。

3つ目は、ツールの入れ替えという文脈もあったので、既存プロセスにこだわってしまって、インプリのところに無理難題が積み重なることですね。MAだけじゃなくSaaS一般に言えることですが、オンプレシステムと違い、ある程度SaaSに自分たちの運用プロセスを合わせていくことが必要だと思います。「ずっとこうやっているから」という理由で、無理難題が積みあがってしまったところは、イケてなかったと思います。

福島:ありがとうございます。「外部ベンダー」「内部社員」「社内プロセス」の3つがポイントですね。いろいろご質問したいことはあるのですが、まずは皆さんにお話を聞いてから、ご質問させていただければと思います。

村田氏:当社は、もともとのシステムから新しいMAシステムを内製で作る際、従来の業務も全てオンプレのシステムで実現できるように要件を詰めたため、戦艦ヤマトのように大きくなりすぎてしまったところはありますね。しっかりと割り切って、MAでやる部分だけを開発をして従来の部分は従来のままでいく方法や、内製ではなくてどこかのツールを入れる方法もあったのかなと思いますね。過去に戻れるとしたら、役割も機能も切り分けてやっていれば、また違った未来もあったのかなと思います。

福島:そうすると黒字になっていたかもしれないですか?

村田氏:可能性としてはありますね(笑)。

福島:オンプレの企業さまもいらっしゃると思うのですが、私も色んなところで話を聞いていて、MAでやれることとオンプレでやれることを分けて考えるのは重要だと思いますね。では、松永さんお願いします。

松永氏:まだ半年なので、致命的な反省点があるわけではないですが、弊社では当初よりマネジメント層の理解やコミットが深く、実装時の体制準備・導入後の内部教育など、各々の課題を「お金で解決できた」という面はありました。その甲斐あり、スキルのある方を斡旋してもらうだとか、社員に対してスキルを付けていくことはできています。

ここまでたどり着いてみて今思うことは、実務担当ではないレイヤー(リーダー層)に対して、「MAってこういうものなんだよ」ともっと社内宣伝しておけばよかったと思います。半年経って振り返ると、構築・運用できる体制はあるし、機能・技術もついてきましたが、施策をジャッジする方々が若干腹落ちしておらず推進サポート体制がうまくワークしないケースもあります。

福島:お金で解決できた部分もあると思うのですが、お金が潤沢にない企業さまだったら、どうされますか?

松永氏:弊社も潤沢にあるわけではなく、一旦は目をつぶってもらっているといったところですが(笑)。MAで売上をたてることを最初から考えていたので、費用をかけることが出来た一方、営業だけを考えすぎると施策の皮算用やメッセージなどで、自分の首を絞める、または足を縛られてしまうこともあります。

最初に導入するときは、儲けることを大上段に掲げるのではなく、「ひとつの手動でやっているマーケティング施策を自動化すると、これだけ工数がかからなくなる」といったことを積み上げていって、シンプルなツールから使ってみるといったステップを踏んでもいいと思います。スキルや人材の部分もあまり手間をかけずに、まず自分自身で使い始めることができるような簡単なツールを使ってみて、結果が出たらより機能のある、やや高いツールを入れてみようなど、段階的に進めた方がスムーズなことが多いと思います。

福島:安いツールからスモールスタートしていくのがいいのではということですね。

酒井さん、ベンダーの選び方というお話がありましたが、過去に戻れるなら、適正なベンダーを選べそうですか?弊社もベンダーですが(笑)。

酒井氏:そうですね。戻ったらうまくできるという保証は確かにないですね。メンバーズさんのようなきちんとしたベンダーさんに出会えればいいんですけど(笑)。

やるべきことがあるとしたら、ベンダー選びの際に何を見たらいいのかチェックポイントリストをしっかり整理しておくことですね。例えば、体制・事業規模・何人くらいのチームで回しているのかなど。会社によってはMA単体でチームを持っているのではなく、CRM施策を少ない人数で回しているところもあるので。あとは、 Salesforceの資格取得者数なども指標としてはあるかと。完全にリスクを回避できるかはわかりませんが、リストがあるだけでだいぶ違ったかなと思います。

福島:ありがとうございます。内部メンバーの巻き込み方について、過去に戻れた場合、どのようなメンバーを巻き込みますか、また巻き込めると思いますか?

酒井氏:これも簡単なことではないです。今日のテーマである「黒字化」に紐づけて話すと、「③ツール・減価償却費」や「④運用・制作費」は、やりたいことに対してどこに何人必要で、それをベンダーさんにお願いするにはどのくらいの体制でいくら必要なのかといったことを、この1年ずっと試行錯誤しています。正直わたしの気持ちでいうと、「③ツール・減価償却費」を固めたうえで、早く「①マーケティング成果向上」に集中したいというところですが。

中の人については、一つ目はビジネスサイドに技術の分かる人が少ないので、例えばシステムサイドの人をうまく巻き込めないか、場合によっては偉い人にお願いして体制変更・異動みたいなことをお願いする方法があると思います。ただ、異動というとちょっと重たいので、すぐに出来ることはトレーニングかと思っています。

また、先ほど SMBCグループでSalesforceを入れていると話したのですが、グループ間でこういった点が良かった・こういう点が大変だったという情報交換をしています。ナレッジ共有を定期的にやっていく、みんなで賢くなるところから盛り上げていきたいと思っています。こうやって他社さんとこういった場でお話しすることもその一つかと思います。

福島:ありがとうございます。トレーニングなどもうまく使っていくということですね。

ご来場者さまからのご質問回答

福島:それではここで会場の皆さまから質問を頂いていますので、登壇者の方々にご回答いただきたいと思います。


質問①:MAの運用は何名くらいで対応していますか?

村田氏:当社は現在10名体制ですね。

松永氏:弊社は、ベンダーさん4名、社員4~5名です。

酒井氏:わたしを除くと銀行員は1.5人月くらい、ベンダーさんが週に1回いらっしゃるので0.2人月くらいですね。


質問②:沢山のシナリオを回されていますが、見直しや差し替えのタイミング、見極めはどのようにしていらっしゃいますか?

酒井氏:弊社の場合だと、施策に対する成果検証が厳しくて、MA施策をリリースしたら1か月以内に役員に数値報告するようになっています。このサイクルはうまく回っていて、1か月くらい効果検証して、そこから改善施策を出して、その中から実装できるものを1~2ヶ月くらいで実装していくペースです。四半期ごとには改善施策が動いています。

松永氏:弊社も大体同じくらいです。

村田氏:当社の場合、一つの施策に対して3ヶ月くらいかけて施策をうっています。悪かったら改善し、良い施策であればそのまま継続する、無理だったらごろっと変えるといったことをやっています。なので、3ヶ月で1シナリオが完全に変わるくらいのペースです。3ヶ月の間も毎月シナリオの対象者やコンテンツを変えること細々とやっています。

福島:クイックなPDCAとよく言いますが、なかなかそんなには出来なくて、大体3ヶ月くらいというところですよね。


質問③:運用・制作費は、本当に年々減っていますでしょうか?MAを突き詰めていくと、よりパーソナライズになると考えています。そうなると運用・制作費は減るどころか増えていくのでは?

村田氏:正直施策をうてばうつほど、制作費は増えていきます。運用の部分は下がっていくんですが、制作の部分では施策と連動して上がりますね。

松永氏:個人的な感覚ですが、増え続けることはないと思っています。PDCAにより施策効果を高めることが前提になりますが、ある施策で一定量の効果があるとしたら、追加の工数なしに継続的に実施できることが、MAのいいところだと思います。

また、弊社の場合は、コンテンツ制作は別部隊でやっており、Webサイトや広告の制作の一環として、ないしは流用としてMAのコンテンツを準備・更新すので、この部分はMA個別の経費では見ていないということもあります。

酒井氏:弊社でも経験がありますが、なりでやると、絶対に制作費は増えていくと思っています。口座を開けたばかりのお客さまに対して、もともと3通のメールを出すという施策が、アンケートに答えてもらい回答によって出しわける形にしたことで、一気に3クリエイティブから12クリエイティブに増えてしまい、社内の製作チームに驚かれたりしたことがありました。

でも、精緻化していくとやっぱりクリエイティブは増えていくし、その工数は増すと思っています。そこで重要なのが仕組みづくりだと思っていて、Salesforceの場合は、テンプレさえ登録しておけば全クリエイティブをHTMLで作らなくても良い機能があるので、そういう機能をうまく使いながらやっていくと。逆に言うと、制作費が増すからPDCAを止めようというのはナンセンスだと思うので、その場ごとで判断していく感じですかね。


 

まとめ

福島:そろそろディスカッションをまとめる時間になってしまいました。私の方でまとめのベースを考えてみました(下記参照)。

 

「ビジネス」と「運用」と「製品」が連携して課題解決できると、MAの黒字化に向かうと思います。

ビジネスについて、MAは高機能でどんどん進化しています。しかし、高機能ツールをシステム部門が導入しても、それを使い切ってビジネスコミュニケーションのシナリオなり、ビジネス成果を考えられないとあまり意味がないと思います。逆に、それらを考えて高機能のMAツールを入れていくとマーケティング成果向上が上がっていくと思います。

製品については、価格が高いなどもあるのですが、すべてのパッケージ機能を果たして使うのかということも考える必要がありそうです。また、色んな機能が追加されていきますが、機能が使いにくかったり、バグやエラーが多かったりすると、それを確認する時間がかかってきます。そういった部分で、製品の使いやすさも必要になると思います。

運用については、MAを運用できるスキルのある人材が不足しています。また、比較的システムよりの人材、エンジニアが多いため、ビジネス理解が乏しかったりするので、そういった理解のある人材の育成も必要です。

 

 

業界へのメッセージ&今後の抱負

福島:今回はMAを導入している方向けの話が多かったので、これから導入する企業さんにとっては少し細かいお話だったかもしれません。最後に、業界へのメッセージと今後の抱負をお聞かせ頂けますでしょうか。

村田氏:MAで黒字にするということだけ考えるとかなり苦しい話になりますが、実際に顧客行動応じてコンテンツを選定し、即時に情報を提供できた場合、お客さまに反応いただけていると身をもって実感できます。当たる施策が出来るとすごく嬉しいですし、そういった施策をどんどん増やしていきたいというのが今後の抱負です。

お客さまの行動ももっと検知していく際に、当社の場合は社内の情報に閉じてお客さまの情報を見ているのですが、外部のデータを使うなどインプットデータをもっと増やしていきたいです。アウトプットするチャネルも広げてMAを有効活用していきたいですね。

松永氏:MA導入・運用をプランニングから関わることが出来て良かったと思っています。データ処理やプログラミングなどもそうですが、今まで出来ていなかったお客さまとのきめ細やかなコミュニケーションがMAによって実現できた部分があり、また、関わるスタッフ一人ひとりのスキル向上や新しいキャリア形成にも繋がっています。MAを実施していくことは何より楽しいですし、自分の役にも立ちますし、ビジネスにもなっていく、一石三鳥ですね。

運用が安定し始めたので、今後はもっとリアルタイムにお客さまとインタラクティブなコミュニケーションが出来るようにしたいです。データ連携のタイムラグや、アプリケーションに依存する情報欠損を直してアクションに対してすぐ反応できてこそ、今後お客さまに選ばれていくのだと思います。

あとは、AI化です。今は人間がシナリオを考えていますが、ここはもっとAIが進んでくる分野だと思います。そうすると、運用コストがもっと減って、優雅に(?)シナリオを回せると思います。

酒井氏:OMOってご存知ですか?「Online Merges with Offline」というデータを基準にしてオフライン・オンラインが統合されていくといった話で、中国で「Luckin Coffee」の事例があったりします。

データを基軸にした事業構造が当たり前になっていくと、MAはマーケティングの一つの手法として広がっていくので、そのど真ん中にいられることを誇りに日々の業務に取り組んでいきたいと思います。MA最高!といったところですかね(笑)。

(一同笑い)

福島:ありがとうございます。皆さん、MAは楽しいということですね!

 

メンバーズのサービス紹介

 

福島:最後に少し宣伝になりますが・・・メンバーズは、2年ほど前からMAやデータを活用したビジネス支援サービスを行い、BtoC、BtoBなどの実績が増えてきました。この領域をやればやるほど思うのは、MAという言葉のように、自動化され、それに携わる人材も減らす必要がありますが、少々逆行して労働集約型になっているのが、現状のMAサービスかと思います。

その部分は将来的には減らしていく、あるいは自然に減っていくのかもしませんが、現状弊社では、SQLを書いて必要なデータを取り、MAやBIツールを使ってやりたいマーケティングを実現できるメンバーを育成しています。またシナリオも意味のあるものを作成する必要があるので、経験者を増やしています。

また、Salesforceのメールスペシャリスト資格者も現在48名と企業別ランキングでは3位、コンサルタント資格者も5名(8月3日時点)と現在5位の状況です。1つの指標ではありますが、これからもより一層増やしていきたいと考えております。

MAを導入してしまったがうまく活用できないとお悩みの方や、これから導入しようと考えているが不安な方がいましたら、お気軽にご相談いただきたいです。

 

▼メンバーズのサービス紹介

マーケティングオートメーション導入・運用

 

福島:これで「MAの黒字化を考える」セッションは終了したいと思います。

皆様、3社の皆様に盛大な拍手をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

3回に渡りお送りしたレポートも以上です。MAの導入や運用でお困りの方への参考になれば幸いです。

 

本セミナーの資料は、下記よりダウンロードいただけます。

MAの黒字化を考える~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~

MAの黒字化を考える~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~

既にMAを導入する企業が、実際にどのようにMAを活用しているかを語り合うパネルディスカッションの公開資料です。パネルディスカッションでは、費用対効果の評価基準は?MAで成果をあげるには?MAって儲かるの?それぞれが苦労している点や課題解決の進め方など、現場責任者だからこそお伝えできる超リアルな実態をお話いただきました。

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今後もメンバーズでは、オウンドメディアやデジタルマーケティングの研修、最新事例やトレンドを盛り込んだセミナーを開催して参ります。

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