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【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #02

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メンバーズでは、企業のデジタルマーケティングご担当者さま向けに、最新事例やトレンドを盛り込んだ自社セミナーの開催や外部セミナーへの登壇を行っています。

2019年8月30日(金)に開催された「第6回 Marketing Special DAY」では、「MA(マーケティングオートメーション)の黒字化を考える」をテーマに新生銀行さま・SMBC信託銀行さま・ジェーシービーさまにご登壇いただき、パネルディスカッションを行いました。

それぞれ企業さまが苦労している点や課題解決の進め方など、現場責任者だからこそお伝えできる超リアルな実態。本コラムではそんな当日の模様を、全3部に分けてレポートします。

 

前回の第1部は、3社の「MA導入の背景」や「現在のMA運用状況」についてご紹介いただきました。

【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #01

 

第2部は、本セッションのメインテーマである「MAの黒字化はできているか」や「現在の収益・コストの割合」についてお話いただきました。

 

 

MA導入から活用時までの収益モデル

福島(メンバーズ):それでは、本日のテーマ「MAの黒字化を考える」に関して話していきましょう。

国内ではまだまだMAを積極的に活用する企業は少ない印象がありますが、弊社で一般的かと思われる収益モデルを作成してみました。横軸が時間軸、縦軸に関してはプラスが収益・マイナスがコストという形で作っています。

「①マーケティング成果向上」は、獲得や購入金額・LTVの向上など、収益につながるものを表しています。
「②インプリ・開発費用」は、クラウドサービスを導入した場合の費用であったり、スクラッチで作る場合は開発費用です。
「③ツール・減価償却費」は、ツールの利用であったり、都度改修する場合の費用を入れています。
「④運用・制作費」は、内部の人件費や外部のアウトソーシングが含まれます。

最初は②から始まり、MAを導入する前にかかっていた運用費や制作費などが、MAを導入することで「⑤自動化による工数削減」が発生するのではないかと。プラスからマイナスを引いたものが0以上だと収益になるといったイメージです。

 

 MAの黒字化できていますか?

福島:では、現在導入されてからの年数とMA事業は黒字になっているのかをお話いただけますか?

松永氏(新生銀行): 弊社は運用を始めて半年で、少しずつ「①マーケティング成果向上」の坂道を上り始めたところです。従って、運用のランニングコストの方が多い状況です。ただし、先ほどお話した通り、MAを導入する目的として、「MAで儲ける」ことを命題にしており、数字を見ることはすでに着手しており、「あとどれだけ積みあがれば、黒字になる」といった計算がようやく出来るようになりました。

酒井氏(SMBC信託銀行):導入して1年になりますが、まだ黒字といえる感じではないですね。先ほど話した通り、うちはシナリオだけでなくメール全般をMAツールで担っていて、他の会社さまとは費用や収益に関する考え方が多少違うのかなと思っています。現状は収益、費用のどちらにも改善の余地があるという認識です。「⑤自動化による工数削減」に関しては、以前と比較して明らかに効果がありました。たとえばメールを送るのに5時間待機するということがなくなったので。

「①マーケティング成果向上」については、もっと施策をどんどん増やしていきたいですし、「②インプリ・開発費用」「③ツール・減価償却費」「④運用・制作費」については適切な落としどころを、ベンダーさんも交えて探っています。

村田氏(ジェーシービー):弊社も導入して1年弱ですが、黒字にはなっていないのが正直なところです。弊社も全メールをMAで配信しており、「⑤自動化による工数削減」に関して、配信業務にかかる負荷の削減は実りつつあります。

肝心の「①マーケティング成果向上」については、実施した施策の全勝は無理で、すべての施策で100%成果を出すのは不可能と思っています。まだ完全な上昇の曲線を描いていないですが、施策の成功率をいかに高めていくか、数を増やせるかがこれからの課題だと思っています。

 

現在の収益・コストの割合

福島:ちなみに、収益モデルの図の横軸にまだ具体的な時間をいれていません。各社さん導入して半年~1年ほどですが、あくまで一般的な話として、黒字に転じるまではどれぐらいの期間が必要だと思いますか?加えて、現在の①~⑤の比率も教えていただけますでしょうか?

酒井氏: 比率に関しては、①を1とすると、③と④の合計で5弱、⑤が1程度という感じです。まだまだ発展途上というところでしょうか。ただ先ほども言った通り、メール配信を全部MAでやっているので、社内的な説明はMAも含めたダイレクトコミュニケーションツールであるということを伝えています。細分化してみると、施策の設定などにかかった人月に対して、リターンが出せている施策はいくつかあります。

福島:どんな施策でリターンが出ているんですか?

酒井氏:分かりやすいところでいうと、オンボーディング施策です。口座をあけたお客さまに対して、サービスの利活用を促していく施策で一定のリターンが出ています。あとは、定期預金の満期を迎えられたお客さまに対してお知らせメールを配信して取引につなげていく施策などがありますね。

それと、「⑤自動化による工数削減」の施策に近いですが、銀行で住所変更を忘れてしまうことってありますよね?そのような形で郵便が届かなくなったお客さまに行っていた住所変更のフォローの電話をメールに変えて成功した、というものもあります。

 

福島:村田さんはどのような感じですか?

村田氏: 当社の場合、①を1とすると、②③のシステム開発が1.5、④が1、⑤が0.5程度ですね。導入1年で黒字にはなっていませんが、今後①がどのようになっていくかですね。

カード会社の場合だと、1本のシナリオでお客さまに反応いただいたり、カードをご利用いただいても、そこから得られる利益はすごく少ないのが正直なところです。仮に10万円ご利用いただいても当社に入るお金は1,000円ないくらいという世界になります。

なので、シナリオをとにかく投入しない限りは、「①マーケティング成果向上」はなかなかプラスにならないですね。コンバージョン率を上げても、「①マーケティング成果向上」がプラスに行くわけではないので、大量かつ反応率が高いシナリオを編み出さないといけません。ぐっと伸ばせるのか停滞するのかは、直面している課題ですね。

福島:1回につき数百円の利益で、ここまでプラスにきているのはすごいですね。月に何本くらいのシナリオを投入しているのですか?

村田氏:現状で月200本くらいのシナリオを投入しています。これからもっと黒字化するためには、1000本単位でやっていかないと辛いのかなと思います。

 

福島:松永さんはどうでしょうか?

松永氏:弊社の場合、①を1とすると、③が1、④が2.5くらいです。現時点ではMAツールはMAのみで使っていて、メールの一斉送信については別のツールを使っていますので、MA単体のコストに対してMA単体でペイすることを命題にあしています。このため「⑤自動化による工数削減」は、なかなか皮算用にいれられないのが現状です。半年間運用してきましたが、まずは「①マーケティング成果向上を突き詰めることを考えています。

また、弊社の場合、まだ20本程度のシナリオ数ですが、そのうち7~8割は営業貢献を主目的とするもの、残り2割くらいがおもてなしやエンゲージメントを強化するものになります。営業目的のシナリオでは、月にどの程度の売上が立つかのカスケードロジックも、シナリオ設計時に意識しています。

ロジックの例ですが、まず、金融商品の販売においては売上金額に対して1~2%程度の手数料等が収益の源泉になります。つまり100万円の利益を上げるには、1億円のお取引が必要になってきます。もちろん、数十、数百万円といったお取引ばかりではないので、1億円分のお取引をしていただくには、100~200名のお客さまとの取引が必要です。お客さまとのコンタクト数に割り戻すと、月間で1~2万件ほどのお取引がないと成果が確保できないといった試算になります。

もし、年間のMA運用コストが1億円だとすると、必要な売上は50億円、タッチポイントが10万件・・・となると現状の収益から考えて今より3~4倍の規模になっていかないとそのレベルには達しないと思います。月々に新しく設計可能なシナリオの数から考えると、まだ2~3年はかかると考えています。

福島:運用して半年というところですが、収益率が1~2%だと施策の数を回さなければいけないし、タッチポイントを広げていかないとなかなか収益には結びつかないという感じですね。

 

MAツールの満足度は?

福島:皆さん、Salesforce Marketing Cloudや独自のMAツールを導入していますが、現在利用しているツールに関してどのように評価していますか?村田さんからご意見いただけますか?

村田氏:弊社は独自のMAツールを入れていて、CRMなどもオンプレです。Salesforceはテスト的に他部署で導入している状況です。なので、私からはSalesforceが良かったのか悪いのかの評価はなかなか出来ないのですが、社内で弊社の独自システムとSalesforce比べてみてそれぞれに強みがあると思っています。

例えば、オンプレシステムでは社内の制約には対応しやすい部分があります。弊社は色んな提携カードがあり、航空系のカード会社の会員に流通系のカード情報を出すのはNGといったルールがあります。アプローチNGの会員は対象としないといった、弊社の業務制約を自動処理できるので、安全性が高いといったメリットがあります。
ただ、一つのシナリオに一つのコンテンツしかセットできないなど、MAとしての機能としては見劣りする部分があります。Salesforceは、同一シナリオでABテストを実施する等の武器がありますので、双方のシステムをどう活用していくか全社的に見定めていきたいと考えています。

福島:ジェーシービーさんは単発メールをオンプレで開発しながらスクラッチで作られていて、それとは別に顧客単位の視点のものは、Salesforceを使っているところですよね。
村田氏:そうですね。厳密にいうとSalesforceさんも使っていますし、オンプレのシステムも併用していて、その勝敗を社内で見ています。オンプレシステムはSalesforceと比べて負けてないと私は思うんですが、結果として負けちゃうときもあります(笑)

福島:酒井さんいかがでしょうか?

酒井氏:(会場に向けて)SalesforceのMarketing CloudやPardotを入れている会社さんはどのくらいいらっしゃいますか?そんなに多くないですね。

他だとMarketoとか使っている方はいらっしゃいますか?こちらにそんなに多くないですね。では、そうではないツールを使っている会社さんも多いんですかね。最近だと、b-dashとか扱いやすいものも出ていますね。

我々についていうと、元のツールと比べるとどのツールも良く見えたというのはまずあります(笑)。その中でもSalesforceは機能が充実しています。金融機関なのでシステム的な視点でのセキュリティも重要なのですが、そこもカバーしていました。その割には、コストも既存ツールほど高くなかった、というのが決め手です。

ただ振り返ると、弊社はアプリを持っていないのですが、プッシュ通知など〇にしている機能は、すべて導入初期から必要だったわけではありませんでした(下記図参照)。ソーシャルやコンテンツテンプレート、AI活用などは今年度になって本格的に使いこなせてきたという感じです。コストの見方については、立ち戻れるのだったら多少変えるべきところはあったと思います。

 

だからといって、現状に不満があるわけではなく、マーケティング全体をカバーできるという点で満足しています。SMBCグループとして導入しているので、グループ間でナレッジシェアができるメリットもあります。

福島:機能的は概ね満足だが、価格部分の「中」は「低」にできると更に良かった、ということですね。

 

福島:松永さんからもコメントいただけますか?

松永氏:私は Salesforceさんのイベントに行ってもSalesforceさん高いですよ~」と言っているのですが(笑)。

弊社はMAツール選定に際して、先行して導入したCRMを前提に、オフラインチャネル(営業・コールセンター)データも含め皆で連携してやっていこうという流れの中でしたので、あまり選択肢がなかったんですね。

CRMに入っている大量のデータを、オンラインかつリアルタイムで全件きちんと更新するためにAPI開発をしていたら、何千万円もかかってしまうので、既存製品で対応できるという理由で選定しました。

もう一つの理由は、オムニチャネルでお客さまとのタッチポイントをつくり出せることです。MA側でお客さまに実施している施策を営業担当が目で見てわかり、今こういうシナリオを回しているので自分はこういったお話をしてみようといった連携ができます。逆もしかりで、店頭スタッフがお客さまとこういう話をしたという記録があるので、それを使いMAでフォローアップをすることも可能です。こういった仕掛けを作るためには、Salesforceのツールにせざるを得なかったと思います。

福島:ありがとうございます。価格に関しての意見もありますが、機能面などは概ね満足されているということですね。

 

以上、セミナーレポートの第2部をお送りしました。短期間でMAの黒字させることは非常に難しく、長いスパンで考えていくことが大切ですね。また各社とも、コスト削減施策だけでなく「稼ぐための施策」を積み重ねていることが分かりました。リアルな収益とコストの比率も参考になったのではないでしょうか。


次回のレポートでは、「MA導入前に戻れるなら、気を付けたいポイント」や「業界へのメッセージ・今後の抱負」といった、MAの導入を検討している方に、とても参考となりそうなお話をレポートします。お楽しみに!

 

第3部のレポートは下記よりご覧ください:

【セミナーレポート】MAの黒字化を考える ~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~ #03

本セミナーの資料は、下記よりダウンロードいただけます。

MAの黒字化を考える~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~

MAの黒字化を考える~新生銀行・SMBC信託銀行・JCBパネルディスカッション~

既にMAを導入する企業が、実際にどのようにMAを活用しているかを語り合うパネルディスカッションの公開資料です。パネルディスカッションでは、費用対効果の評価基準は?MAで成果をあげるには?MAって儲かるの?それぞれが苦労している点や課題解決の進め方など、現場責任者だからこそお伝えできる超リアルな実態をお話いただきました。

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