関連記事
【決定版】ASO対策・ASO施策(アプリストア最適化)の適切なKPI設定—ツール別詳細な算出方法<準備編>
はじめに
ゼロから始めるASO対策・ASO施策と銘打ち、<入門編>、<準備編>と2回に亘ってポイントをお伝えしてきました。
3回目の<実践編>では、いよいよ具体的な施策内容をご紹介します!今回は9つに厳選しました。
さっそく見ていきましょう。
目次
1. アイコン:シンプルさと整合性が重要
2. アプリタイトル:キーワードを盛り込む
番外_ポイント:検索順位に影響する要素
3. サブタイトル:TTR、CVRを改善
4. 説明文:読まれない?—見やすく詳細に書く
5. プロモーションテキスト:アピールポイントを凝縮
6. キーワード:適切な選定方法
7. スクリーンショット:機能や操作イメージを直感的に想像させる、最初の2枚が勝負
8. 動画:ゲーム以外で設定しない
9. レビュースコア:返信、解析、UX改善
10. おわりに
1.アイコン:シンプルさと整合性が重要
アイコンは、ストア内でユーザーが最初に目にするアプリの視覚的情報であり、(ホーム画面で常に表示される画像でもある)そのアプリに対する印象を大きく左右する、いわばアプリの顔です。
アプリアイコンは、基本的にテキストではなくグラフィックで情報を表します。
アイコンは小さいですからテキストは見にくいですし、タイトルやサブタイトルでテキストは補足できますので、アプリの顔となるイメージはグラフィックで直感的にわかりやすいものにするのが良いでしょう。
AppleがHCDやアクセシビリティ等の観点から、アイコン作成のガイドラインをまとめていますので、下記を参照してください。
App Icon – Icons and Images – iOS – Human Interface Guidelines – Apple Developer
アイコン内の情報からユーザーが受け取る情報は私たちが考える以上に膨大であり、DL率にかなり大きな影響力を持ちます。
絶対に避けなければならないのは、
- アプリの内容と反するイメージのグラフィックを使い、ユーザーを混乱させる
- アプリのブランドに反するイメージのグラフィックを使い、ユーザーを混乱させる
ストア上でのユーザーの困惑は、DL率の悪化に直結します。
ASOに限らない基本的な考え方ですが、CV率をあげるために最も重要なのは、ユーザーが「CVしない」理由を作らないこと(または、その理由を見つけさせないこと)です。
「動画編集アプリと書いてあるのに、アイコンがハサミのマークなのはなぜ?」
「知っている企業のアプリのはずなのに、アイコンが企業のロゴじゃないのはなぜ?」
等々のユーザーが抱く数々の解決されない疑問や不満は、ユーザーに「DLしない」または「タップしない」という判断をさせるための材料として十分すぎるほどです。
信頼感、安心感(このアプリはしっかりした企業が作っていて、他のたくさんの人が使っている)を訴求し、「本当にこのアプリを自分のスマホにDLしてもいいのか」という不安感を感じさせないようにすることが、検索からDLまでのスムーズな流れを生みます。
また、音楽系なら「音符」、動画系なら「Playマーク(▶)」、「人間の指が見えたらゲーム系」など、表示されるアイコンとアプリの内容に関するイメージモデルのセットを意識することも役立つでしょう。
2.アプリタイトル:キーワードを盛り込む
アプリタイトルに含まれているキーワードは、検索順位に最も大きな影響力を持っています。
のようにアプリタイトルが長くなっているアプリが多いのはそのためです。
アプリタイトルの文字数制限は、iOSは30文字以内、Androidは50文字以内です。
閲覧画面や端末、OSバージョン、または文字サイズ等のユーザー設定によって、ストアでどこまで表示されるかは変わります。
最大字数までタイトルを登録したときは、ほとんどの場合すべてのタイトルは表示されません。
アプリの特性を見極め、企業名やアプリ名を先頭に持ってくるべきか、キーワードを優先すべきかを決定します。
生活者の認知度が高い企業の場合や、サービス認知のある特定のターゲットに向けたアプリの場合は、キーワードを含める必要がないので、アプリ名だけにしているパターンも多く見受けられます。
番外_ポイント:検索順位に影響する要素
タイトル | サブタイトル | プロモテキスト | 説明文 | キーワード | レビュースコア | DAU/MAU | ウェブでの評判 | 開発者名 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
iOS | ◎ | ? | × | × | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
Android | ◎ | – | ○ | ○ | – | ○ | ○ | ○ | ○ |
※記事執筆時の最新OS: iOS 12, Android 9.0
検索順位に影響する要素を表にまとめてみました。
タイトルに含まれるキーワードが最も大きな影響力を持ちます。
その他、iOSとAndroidで違いがあるので注意が必要です。
開発者名もキーワードとして加味されます。例えば、Members Co., Ltd. がリリースしたアプリは、「メンバーズ」や「members」でヒットしますよね。
3.サブタイトル:TTR、CVRを改善
サブタイトルは、下の画像の赤枠部分に表示されるテキストです。
App Store Connectから設定可能です。
サブタイトルは、アプリ詳細ページでは同じ場所に「デベロッパ名⇒サブタイトル」の順にアニメーションで表示されます。
未設定の場合、デベロッパ名のみが表示されます。
検索結果ページでは、iOS10以前でカテゴリ名が表示されていた場所に固定表示されます。
未設定の場合はカテゴリ名が表示されます。
iOS11から、ユーザー動線の時にもお話した通り、検索結果画面から直接DLできるボタンが追加されました。
詳細ページまで遷移せずにDLする(ユーザー動線②)検索ユーザーは65%にのぼると言われています。
※ユーザー動線②については、<入門編>をおさらいしてください!
サブタイトルは、検索ページから閲覧できるアプリの説明要素です。
ただ「ライフスタイル」とカテゴリ名が表示されているより、「ポイント貯まる!便利な〇〇クーポンアプリ」と書かれているほうが、訴求が高まるのは明らかですね。
詳細ページまで遷移する前にDLしてもらうためには、やはり気軽さ(=不安要素がないこと)が重要です。
ユーザーが疑問や不安に思う余地を残さないことは大前提として、「お、よさそう」と思ってもらうための補助的テキストとして、サブタイトルは非常に有効です。
4.説明文:読まれない?—見やすく詳細に書く
説明文は、詳細ページの中で最大のコンテンツです。
とあるアンケート調査によれば、実に52%以上のユーザーが、DLの決め手は説明文であると答えています。
ところが、App AgentのPeter Fordor氏が25000人を対象に実施した行動観察調査によると、アプリDLの際に実際に説明文の「さらに表示」をタップしたユーザーは1%未満にすぎませんでした。
※ただし、ゲームアプリに限っては5%のユーザーが「さらに表示」をタップしました。Fordor氏は、他のアプリに比べてゲームアプリの容量が大きいからユーザーは慎重になっていると考えています。
ではどのようなユーザーが説明文を開くのでしょうか?
想定されるのは、先ほどアイコンの頁でご説明したとおり、疑問や不安を持ってしまったユーザーです。
推奨環境は? ネット回線は必要か? 容量はどのくらいか?
等々、想定されうるユーザーの疑問に詳細に答えられるような説明文にしておきましょう。
※ただしAndroidは説明文が検索順位に影響を持ちますので、キーワードを含めておくなどの工夫は必要です。
(出典)Why 7 Seconds Could Make or Break Your Mobile App
5.プロモーションテキスト:アピールポイントを凝縮
iOSのプロモテキストは、上図の位置に表示されます。
説明文の最初の数行のような見え方になります。
Fordor氏の調査によれば、70%のユーザーがここまではスクロールして閲覧します。
つまり、DL率に対する影響力が大きいということです。
この部分でユーザーが求めているのは、「アプリに対する説明」です。
伝えたい部分を凝縮させ、「どのようなアプリか」を分かりやすく説明します。
Androidは、プロモーションテキストは詳細ページではなく検索結果ページに表示されます。
iOSのサブタイトルとほぼ同様の役割と考えてよいでしょう。
6.キーワード:適切な選定方法
iOSの場合、App Store Connect側でアプリに対するキーワードを設定できます。
Androidでは、そのようなキーワードの設定は特にありません。
適切なキーワード設定のためには、下記のようなことに気を配ってください。
- 固い言葉を使わない(検索っぽい言葉を使う)例:「休日」→「休み」、「購買」→「買う」
- ユーザーの目的を1つに絞る:何をしたい人が使うのか? 複数を追おうとしない
- 単語に区切る:「写真加工」→「写真」「加工」
- 表記ゆれ・略称:「ついったー」「すなちゃ」「ぱずどら」
- 競合:「ツイッター」検索時にフェイスブックが引っ掛かるようにする
- サジェスト:ストアの検索窓にビッグワードをいれて、サジェストで表示されるキーワードを選ぶ
- Search Adsのキーワードツールを使う
7.スクリーンショット:機能や操作イメージを直感的に想像させる、最初の2枚が勝負
機能や操作イメージを直感的に想像させる
スクリーンショットはユーザーが目にする最も大きな視覚的要素で、直感的にアプリの内容を伝えるのに役立ちます。
注意すべきポイントは、当然のことではありますが、スクリーンショットの目的は、「アプリそのものの内容を伝えること」だということです。
ユーザーの欲している情報は、機能(何が出来る)や操作イメージ(どうやってできる)といった、アプリそのものに対する情報であって、それによって得られるもの(ユーザー体験)の押し付けではないということに注意すべきです。
つまり、例えばクーポンアプリの場合、ユーザーがアプリストアで確認したいのは「クーポンが一覧で見られる」「ジャンル別に見られる」「こんな店のクーポンがある」「タップで使用するためのQRコードが表示される」であって、「クーポンがたくさんあって、お得な買い物やランチができます!」ではないということです。
これはASOの特徴でもあると思いますが、アプリストアという場所においては、ユーザーは特に「機能面」(何が出来るか)を重視し、押しつけがましい販促的な内容を嫌う傾向があると思います。
ある企業のアプリで、ある企業のアプリで、スクリーンショットの1枚目の内容を、テキスト比重の多い販促情報から機能とその操作イメージのスクリーンショットに変更したところ、自然流入からのDL率が2倍以上改善したという事例もあります。
最初の2枚が勝負
さらに、Fordor氏の先ほどと同様の調査によると、縦長の画像にした場合、9%のユーザーしかスクリーンショットをスクロールせず、横長の場合は5%のユーザーしかスクロールしませんでした。
つまり、ほとんどのユーザーがファーストビューで見えているものしか、判断材料として利用していないということです。
ですから、スクリーンショットはiOSなら最大5枚登録できますが、絶対に伝えたいものは、最初の2枚に持ってくるようにしてください。
もっとも重要な機能などを、最後のスクリーンショットに組み込まないようご注意ください。
8.動画:ゲーム以外で設定しない
動画は、グラフィックや操作性が売りのゲームアプリでない限り、実装しないほうがよいと思います。
Fordor氏の調査によれば、動画の再生率はiOSでわずか0.5%、Androidでも2%~4%に留まりました。
もっとも再生率が高かったゲームアプリのケースでも、5.9%となっています。
「アプリのインストール時間のほうが動画を見ている時間よりも短いので、とりあえずインストールしてみる」という声が多いようです。
さらに、動画はスクリーンショットの1枚目の位置に表示されるので、せっかくのスクリーンショットが動画によってファーストビューから繰り下げられてしまいます。
実際にとあるアプリで設定していた動画を削除したところ、自然流入からのDL率が1.5倍程度改善されたという事例もあります。
9.レビュースコア:返信、解析、UX改善
ASOにおいては、疑問や不安の解決、信頼感・安心感、機能・操作イメージの訴求が重要とお伝えしました。
レビュースコアは、検索順位に影響するだけでなく、上記の疑問・不安の解決、信頼感・安心感の向上を助けます。
ただし、レビュースコアが悪いと、当然ながら逆のことが起こります。
レビュースコアを上げる方法としては、レビュー返信、レビュー解析とUI/UX改善などがあります。
レビューに返信する
レビューに返信することにより期待できる効果としては、評価を上方修正してくれるということです。
これは既存のレビューを底上げしていこうという考え方です。
実際、あるアプリで低評価のレビューに返信する対応を行ったところ、半数以上のユーザーがレビューを上方修正してくれました。
この時行った返信は、簡単に解決できることであればその場で解決方法を提示、苦情や明らかにユーザーが怒っている場合は、謝罪とお客様相談センターの連絡先を貼るという簡易的なものでした。
レビュー解析・UX改善
レビューを解析し、ユーザーの要望をUIやサービスに反映することによりUXを改善させていく対応です。
これは今後のレビューを改善していこうという考え方です。
レビュー解析には、テキストマイニングツールを使用するとわかりやすいです。
上の画像は、とあるアパレル系メーカーのアプリのレビュー文言をテキストマイニングツールにかけた結果です。
何が課題なのかが一目で分かりますね。
使用したツール:テキストマイニング 無料ツール by ユーザーローカル
※自社/他社レビューのテキストはApp Annieで取得できます。
おわりに
3回に亘ってご紹介してきたゼロから始めるASOですが、今回の<実践編>で終了となります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
初心者でもすぐに実行できるということを念頭にASO対策のポイントをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
少しでもみなさまのマーケティング成果に対して貢献できれば幸いです。
関連記事
コラム執筆者
清水 聡朱
2018年入社。第1ビジネスユニット アカウントサービス第16ユニット所属。ECサイトやアプリのUI/UX改善、PDCA運用を担当。趣味は囲碁。
ASO対策・ASO施策担当者向け資料
ゼロから始めるASO(アプリストア最適化:アプリ版SEO )
ASO初心者の方でも、ASOとは何かを理解し、KPI設定から実際にASO対策施策を行うことができるように、実際の施策実施の流れに沿って、必要な知識や理解しておくべきポイントを解説いたします。
アプリの課題を見つける!ユーザーテスト基礎入門(ユーザビリティテスト基礎入門)
ユーザーテストとは、ユーザーに実際にWebサイトやアプリを利用してもらい、その様子の観察やヒアリングを通じ、ユーザー心理や対象サイト・アプリの課題・機会を見つける手法(ユーザビリティテスト)です。本資料では、企業のデジタル担当者が知っておきたい「ユーザーテストのやり方」をわかりやすく解説しました。