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SDGs 企業:「目標12:つくる責任 つかう責任」 ~ 「大量廃棄社会」 ブックレビューを通して考える

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いまや国内でも一般のニュースとして度々取り上げられる食品ロス問題。最近では、コンビニ業界でも、販売期限間近のおにぎりやサンドイッチ等の実質的な値引きが検討され、消費者の関心も比較的高い社会課題と言えます。

SDGsの達成すべき目標の一つとして掲げる「目標12:つくる責任 つかう責任」 。今回は、食品や衣類の大量廃棄問題をテーマとした書籍の紹介と併せて、関連する海外のプロモーション事例をお伝えしたと思います。

目標12:つくる責任 つかう責任

大きな変革の一歩は、たいてい、気づかれもしないような小さなきっかけから始まっている。ボランティアや社会起業家といった社会貢献の形は、誰もが気軽に、というわけにはなかなかいかないだろう。だが、普段の暮らしの中でも、できることはたくさんある。毎日の暮らしを支える商品がどのように作られ、手元に届いているかについて関心を持つ人が増え、自分の買い物の仕方を変える人が増えれば、企業も、社会も、変わっていく。
「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」(光文社新書)より)

一般によく言われる「大量生産・大量消費」、これからは、「大量生産・大量廃棄」と言い換えた方がよさそうです。つまり、本来、人の口に入れられたり、袖を通すことを前提に作られた食品や衣類は、「消費されず」に大量に捨てられているから。

節分の日の翌日に食品リサイクル会社で廃棄される大量の恵方巻き、1日9トンもの古着が持ち込まれるリサイクル会社の倉庫、表紙をめくるとこうした不快感満載のカラー写真で始まる本書。
一方で、これまで当たり前に行われてきたことに違和感を感じ、素朴な疑問を持った人々が数多く登場する本書。読後には、表紙を開いた時の重々しい気分が晴れ前向きになる、そんな一冊でした。

 

●持続可能でない商習慣とわたしたちの暮らし

バーバーリー:年間41億円
H&M:年間12トン

これは、本書で紹介される海外のアパレルメーカーが年間に焼却している自らが製造した商品。

著者の推計によれば、国内のアパレル商品の供給量約38億点に対して、消費量は約20億点。つまり、廃棄量は18億点にも及ぶわけです。

そして、本書で指摘されているのが、アパレルの製造現場の課題。それは、なにかとニュースになる海外からの技能実習生の受け入れにありました。実は、受け入れ先の半数以上は、アパレル関係が占めるとのこと。アパレルの生産工場といえば、中国やバングラディッシュ等が思い浮かびますが、本書で指摘される製造コスト圧縮の流れは、国内でも経済的な弱者を生んでいるということです。

また、食料自給率4割にも満たない日本の食品ロス(まだ食べられるのに捨てられる食品)は、世界中の食糧支援量のおおよそ2倍という事実。本書では恵方巻きを題材として、コンビニ会計と言われる、独特の会計方法が紹介されていますが、どれだけ廃棄
する商品が発生しても、大量生産すればするほど、コンビニオーナーが苦しみ、本部が儲かる仕組みというもの。ちょっと驚きでした。

日本には、いまや世界にも浸透した「もったいない」の精神があるはず。しかし、それ以前に、将来の資源や食料不足が叫ばれ地球自体の存続が危うい中、これらのビジネスは、そもそもサステナブルではないし、低モラルなビジネスであるということ。

24時間営業問題でここ最近クローズアップされるコンビニ業界ですが、人口減少社会という新しい時代を迎え、廃棄問題も含め、新しいビジネスモデルへの変革が求めていると言えそうです。

こうした実態を見ると、企業ばかりに責任がありそうですが、日本国内の食品ロス量のうち、約半数弱は家庭から出されていることをご存知ですか?

SDGs 目標12のターゲットには、
・2030年までに、小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ・・・
・2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つ
といった文言も含まれています。

事業者による対策に加えて、今、私たちは、新しいライフスタイルへの転換が求められています。

 

●希望の光

この様な気が重たくなる内容が含まれる中、読後感の清清しさは、こうした状況においても、新しいビジネスで、食品ロスやアパレルの大量廃棄問題を解決しようとする、希望に満ちた方々がたくさん紹介されているから。是非、本書で紹介されるこれら企業サイトにアクセスして希望の光を感じて下さい。

 

メルカリの社長インタビューも良い意味で期待を裏切られた共感できる内容でした。

 

●Reimagine~再考せよ

食べ物でも衣類でも、今買おうとしているものは自分にとって本当に必要なのか?本当に有効利用されなければ、買い物の全てはゴミとなる。本書を読めば、その考え方がすんなりと受け入れられることでしょう。

そして、本書を読みながら思い出したのが、パタゴニアによる数年前のブラックフライデーでの「Don’t Buy This Jacket」キャンペーン。

年末商戦真っ只中のブラックフライデーに、パタゴニアは、「そのジャケット,本当に必要ですか?買わないで下さい!」と消費者に投げ掛けたわけです。そして、こうしたメッセージのキャンペーンにも関わらず、消費者はその企業姿勢に共感し、売上はアップしたそうです。

一般的な、Reduce、Reuse、Recycleの3Rに加え、最近では、この3RにRefuse(不要なモノを買わないこと、断ること)を加えた4Rといった考え方も少しづつ浸透していますが、パタゴニアが掲げるのは5R。

ここで、注目すべきは、5つ目の「Reimagine」でしょう。:5Rの記述に関する、Patagonia 本社サイトはこちらから

「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションステートメントに掲げるパタゴニア。

私たち消費者は、サステナブルな社会に向けて、普段の買い物においても、未来のこと、身近な社会のこと、そして地球の裏側のことまで、もう少し想像力を働かせる必要がありそうです。

 

商品廃棄で非難を浴び、その手法を改めたバーバリー。問題発覚一ヶ月後に、これまでのやり方を改めるとした記者会見でのマルコ・ゴベッティCEOのコメントを最後に紹介しましょう。
 

「現代のラグジュアリーとは、社会や環境に責任を持つことを意味する。この信念はバーバリーの核であり、長期的な成功の鍵だ」

 

 

※本コンテンツは、はてなBlog:Marketing They Are a-Changin’  投稿コンテンツを追記修正して掲載しました。
Re-Imagine~再考せよ 「大量廃棄社会」 ブックレビュー

 

執筆

萩谷衞厚

萩谷衞厚

株式会社エンゲージメント・ファースト(メンバーズグループ)
Chief Shared Value Officer
人間中心設計(HCD)スペシャリスト
日本マーケティング学会会員 サステナブル・マーケティング研究会 事務局
環境エンジニア2級

新卒入社の外資系コンピューター会社を経て、コールセンター・CRMコンサルティング・ファーム 株式会社 テレフォニー(現 株式会社 TREE)に在籍。コールセンター構築や顧客戦略のコンサルティング業務に関わりながら、2007年以降、Green TV Japanの立上げ・運営に従事。
前職の事業譲渡に伴い、2015年5月より、株式会社 メンバーズの100%子会社 株式会社 エンゲージメント・ファーストに在籍。Shared Value Agency®として、大手企業を中心に、様々なCSV推進プロジェクトに関わり、現在に至る。
茨城県日立市出身、『UX × Biz Book 顧客志向のビジネス・アプローチとしてのUXデザイン』(共著)

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