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「ペルソナに共感する」ってなんだ?

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※この記事はnoteからの転記です。

 

よくUXデザインの代名詞的に「ペルソナに共感する」と言います。
しかし、この「共感」が正体不明のままで、ふわっと使われているように感じています。

では「共感」とは何か?をみてみます。

きょうかん【共感】
( 名 ) スル
① 他人の考え・行動に、全くそのとおりだと感ずること。同感。 「 -を覚える」 「彼の人生観に-する」
② 〘心〙 〔sympathy〕 他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
③ 〘心〙 〔empathy〕 ⇒ 感情移入
(大辞林第3版より)

いかがでしょう?
①、②、③で微妙に違うことを言っています。普段ペルソナを作る時に感じている感覚は、②の感覚が近いです。あくまでも他人が主役で、その他人の体験する感情を自分のもののように感じ取ることをしているように思います。他人の感情を、自分におきかえて理解することや、自分の感情を対象となる他者に入れ込んでしまうのは、私の普段の「共感」の感覚とは違います。

次にUXデザインのプロセスで「ペルソナに共感」はどのステップで行うのか?我々のチームで以前使っていた「HCDプロセス(ISO9241-210)」を参考に、簡略化して作った「UXDESIGN PROCESS」で見てみます。

「ユーザー調査」をしたあと、ユーザー体験設計/プロトタイプ・実装前の「作る」前に位置づけられる、ユーザーを理解・分析していくステップで「ユーザーモデリング」です。

つまり「ペルソナに共感する」とはユーザー調査で得られた情報(ファクト)を、加工(理解・分析)して、「作る」ための価値あるインプットにならなければなりません。これがユーザーモデリングの目的になります。

では「価値あるインプット」にするためには何が必要でしょうか。
「作る」にあたり、前提があると思います。

・誰かが「言っていない(言語化していない)」ことを知る必要がある

だとしたら、「(ペルソナ)は特に言ってない、行動していないけど、こういうことが課題だと思ってます」とか「(ペルソナ)は特に言ってない、行動していないけど、こんなことを辛いと感じています」という積極的代弁までできるまでいきたい。

我々のチームではこの状態を「ペルソナの主観のレンズを手に入れる」と言っています。
ペルソナという人格の目線で(ある特定状況下での)、その感情、行動を価値観から予測、代弁できるようになることがとても重要で、理想です。

また「ペルソナの感情、行動の予想、代弁」には正解がありません。
だからこそチームメンバーそれぞれが考え、議論をしていく中で共通の認識をもつ必要があります。そのためにもチームメンバー全員が「ペルソナの主観のレンズを手に入れる」状態を作りたい。

ではそのために重要なことは何でしょうか?
「ペルソナシート」という中間生成物を読んでもらう、ではなく、「ユーザー分析」の過程そのものです。よく使われる手法はチームメンバー全員で親和図法を使った分析ワークショップで、ファクトのカードを並べながら解釈していくことで共通の認識を作って行きます。
※分析ワークショップのやり方は細かいので、機会があれば書きます。

こんな感じでチームで利用者と向き合って、議論をしながらチームなりの理解をしていきます。

じっくり時間をかけて、チームメンバーの間で、「ペルソナの主観のレンズ」を作ってみてください。

転記元:「ペルソナに共感する」ってなんだ?

コラム執筆

川田 学

川田 学

UXデザイナー × プランナー
HCD-net認定 人間中心設計専門家

国内メディア系企業の新規サービス開発プロジェクトにおけるUXリサーチ・分析・体験設計、評価、メーカー系企業のコンテンツサイトの初期設計、PDCAプロセスデザイン等、担当。プロジェクト全体におけるUXデザインの適用と、デザインスプリントにおける、調査、分析、体験設計といった「見えないデザイン」を主に手がける。

メディア掲載履歴:
MdN Design Interactive
「UXデザインを上手に組み込むための「関わり方」と「取り組み」のコツ」
https://www.mdn.co.jp/di/newstopics/50425/
書籍:UX × BizBook(マイナビ出版)
その他:
産業技術大学院大学履修証明プログラム
「人間中心デザイン」非常勤講師 等