今回のタイトルにあるように、Weibo(微博、ウェイボー)の運用では、ユーザーに楽しんでもらうためのコンテンツ、
双方向のコミュニケーションがとても大切です。
時には”意外性のある運用”が、ユーザーに楽しんでもらえるきっかけにもなることもあります。
このコラムでは意外性のある運用をしている事例をご紹介します。
1 Weiboの運用及びプロモーション、課題提起
●インバウンド市場で高まるWeiboの重要性
近年、訪日中国人観光客が増えている中で、インバウンド市場の拡大とともに、日本企業は中国現地法人のありなしにかかわらず、Weiboの公式アカウントを立ち上げ、マーケティングツールとして活用し、数多くの日本企業がWeiboを用いたマーケティングを実施しています。
しかし、中国市場や、中国人観光客を攻略するために、この必須ツールと呼ばれているWeiboの運用・活用方法について、ときに発信する内容が満足いくものでないものが見受けられます。
中国のユーザーにとって、日本の企業様が発信している情報は、データとして見られ、全く反応しないか、適当に〈いいね!〉を押すだけになっているケースは多々あるでしょう。
また、ユーザーにとって、企業のコンテンツに、本当に〈いいね!〉と思って反応くれる人は何割くらいいるのでしょうか?
そこで、今回のコラムで、日本企業にとっての自社Weiboアカウントの存在意義、またWeiboのあるべき姿についてお伝えしたいと思います。
●Weiboの概要を知りたい方
WeiboはどのようなSNSなのか、またユーザー数や使用のされ方の解説については、こちらからご確認ください。
2 課題の深堀り
●1 ユーザーに刺さるコンテンツを作っている企業は少ない
企業のマーケティングにSNSを使うことは一般的になりましたが、SNSの持つ特性を考慮すると、運用者側の都合だけに合わせた発想はユーザーに受け入れてもらえないでしょう。
しかしながら、上記でのSNSの運用方法について、現在、数の多くの企業が上記と同様な対応仕方で、ユーザーに刺さるWeiboの運用ができている企業が少ないです。
●2 国民性を考えたコンテンツ作成ができていない
また、運用の仕方だけでなく、そもそも国民性が異なっている国のユーザーに対して、コンテンツの制作についても、オリジナリティが欠けていることも多いです。
●3 Twitterは運用上手なのに、Weiboでは出来ていない
各企業でWeibo運用目的は異なりますが、どのような目的にせよ企業の発信が一方通行になると、フォロワーは集まりません。
Weiboは中国人ユーザーにとって、”双方向のコミュニケーションツール”という事を忘れてはいけません。
ビジネス活用に向くFacebookや、 拡散力のあるTwitterはコミュニケーションツールとして定着してきた結果、企業は良いコンテンツ制作や運用を行うことが出来るようになってきました。しかし一方、Weiboになると、多くの企業が当たり障りのない内容であったり、思い切りの足りない、単なる翻訳・投稿という運用になるケースが多く見受けられます。
3 自社が目指すWeiboのあるべき姿はどこでしょう?
上記で申し上げたように、Weiboは双方向のコミュニケーションツールであります。自社のフォロワーとのコミュニケーションをとれるような場所になることが自社のWeiboアカウントにあるべき姿ではないかと考えられます。
そこで、企業のWeibo公式アカウントの役割を下記4段階で分析し、自社のあるべき姿を明確しましょう。
① 企業のメガホン
この段階では、Weiboの役割は企業から発信したいこと、また組織についての情報や新商品のリリースと商品紹介の情報が大半となっています。
② 相互コミュニケーション
企業とフォロワーのコミュニケーションが発生します。話題をフォロワーに提供し、フォロワーから興味ある話題に対してアクションを起こします。
③ キャラを立たせる
機械的に決まった情報を発信するではなく、人物像を生み出し、企業の風土にあったキャラを立たせます。
毎回の投稿は必ず承認してもらうのではなく、決めたアカウントキャラ内で、運用者に裁量権を渡し、より迅速かつ一人の人間と複数の人間の間で発生しそうなコミュニケーションを意識します。
④ フォロワー・消費者のニーズを理解
相互のコミュニケーションが増え、フォロワーにとって、企業のアカウントに対しての要求は、ただの情報収集でなくなり、サービスや商品に対しての要望も言えるようになります。ユーザーのニーズが顕在化され、企業もKPIから離れていってもよいと考えられる。フォロワーの数や閲覧数だけでなく、ユーザーの声から、中国の消費者にとって、あって欲しい姿、そして商品に対してのニーズなど、様々な声が企業に届けられるようになります。
上記で紹介したように、企業のWeibo公式アカウントは4つの機能・役割があります。もちろん④までできたら一番理想でありますが、いきなりそうなれるようなものではないと思います。そのため、いかに日々の運用がで、目指す目標に向かって進んでいるかが重要なポイントになります。
4 Weiboはツイッター同様、キャラを立たせた勇気ある運用を!事例紹介
では、中国の企業が行っているWeiboマーケティングの事例を見てみましょう。
例1:京東(ジンドン)の企業アカウント
アリババの天猫の公式weiboアカウントは、”最近もっとも悩ませることは何か?”多くの人にとってはこの写真の事だよ。
と写真を見せました。写真には「春節になると、宅急便も休むなんて・・・」と書いてありました。
すると。京東(ジンドン)のアカウントは即座に
「春節も店や配達は休まないから、好き勝手に買ってね!」と書き込みをしました。
その後京東の他アカウントも追随し、”天猫に対する強い包囲網”を作り、また自分達でも”春節を楽しくお過ごしください、何でも配達します”と書き込みました。
多くの人はこのオリジナリティあるマーケティングをした事を褒め称え、この正常ではないプロモーション方法は現在も続いており、多くのweibo運用スタイルを変えることに至りました。
https://www.weibo.com/tmall
例2:世界市場進出を加速するハイアールグループの企業アカウント
人気の理由
身を犠牲にする事で人気を博す
マーケティング方法:ホットな話題をつくる、ユーザーの質問に答える、フォロワーにサービスを表明する、芸能やスポーツに関する内容を書く、写真、音楽を多彩に用いる。
ハイアール(80万人フォロワーを有し、企業アカウントの代表とも呼ばれるほどの人気アカウント)は、一般的な現象や存在を超え、全力で”話題を創造する”存在です。
富豪の王健林(中国不動産王)に対して怒ったり、著名人の結婚式と自社のサービスや商品を紐付き、あのトップ人気の企業アカウントーデュレックスと匹敵するほどの勢いで自社アカウントの知名度を上げられました。
●事例紹介
あるネット民が「どんなブランドの豆乳機を購入するべきか」と聞いたところ、多くの公式アカウントを巻き込んだ論争になりました。
故意に宣伝をするような事はしない普通の一般アカウントが200を超える公式アカウントを巻き込んだのです。
その論争の中で公式weiboアカウントが溢れかえる中、
ハイアールのアカウントは『私を選べ、他は全部ゴミだ』
と冷徹で面白い解答をし、沢山の評価をユーザーから得たのです。
https://www.weibo.com/haierexpo?refer_flag=1001030101_
5 まとめ
今回は成功しているアカウントのなかから、編集者と運用者の個性を活かしている事例をご紹介しました。ご紹介したようなキャラクターを立たせたコンテンツ運用が難しい場合は、せめて日本でのコンテンツをそのまま中国語に翻訳しただけで使用するのは止めた方が良いでしょう。ぜひユーザーに合わせた中国語でのオリジナルコンテンツをつくりましょう。
近年では、中国のユーザーは検索エンジンよりSNS上の情報を信用すると言われています。
企業の公式アカウントの「擬人化(キャラ色)」が、この時代の中国ユーザーにとって、1つの受け入れられたように、嗜好は徐々に移り変わりつつも、刺さる内容はあるのです。
勇気をもって運用、そして思い切ったコンテンツをつくりましょう。
■コラム執筆者 于 凱
カテゴリ: インバウンドマーケティング, 微信、百度、新浪微博
2018年03月28日