日本攻略の戦略、モバイルサイトオープン=いよいよ動き出すFacebook【湯川】
TechWave 湯川鶴章氏(@tsuruaki)
米調査会社comScoreは、インドのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の7月のユーザー数調査で、OrkutをFacebookが抜いて同国内SNS首位になったと発表した。昨年7月の調査ではOrkutが2倍以上のユーザー数を誇っていたのに、わずか1年でFacebookが179%もユーザー数を伸ばしてOrkutから首位の座を奪い取った。

Facebookは世界各地でその勢力を伸ばし続けている。株式会社ループス・コミュニケーションズの斉藤徹氏の記事によると、昨年1年間だけでも世界131カ国中、30カ国のトップSNSの座を奪っており、111カ国でトップとなっているという。
FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏によると、世界でもFacebookがトップSNSの座についていない主要国は、ロシア、中国、韓国、日本の4つしか残っておらず、これらの国でも会員数が伸び始めたので、いずれ会員数が10億人に達するだろうと語ったという。中国ではFacebookが禁止されているわけだが、ロシア、韓国、日本はユーザー数がまだ100万人規模であるものの、半年ごとに倍々ゲームで伸びているという。
日本には、mixi、GREE、モバゲータウンの3大SNSが存在するが、GREE、モバゲータウンはソーシャルゲームを核にしたSNS。Facebookと同様に人間関係をベースにしたSNSとなると、mixi。mixiがFacebookの競合ということになる。Facebook自体もmixiを意識しているようで、Facebookに関する最近の書籍The Facebook Effect: The Inside Story of the Company That Is Connecting the World(David Kirkpatrick著)の中で、Facebookの「気がかりな競合社(worrisome rival)」としてmixiが取り上げられている。
本の中で著者は「Facebookは引き続き有力なライバルと対峙しなければならない」とした上で、Facebookにとって「気がかり」なのは、1つの国で独占的なシェアを持つSNS。その筆頭として、日本のmixiが取り上げている。Facebook幹部の言葉として引用されているわけではないが、幹部のインタビューを繰り返した著者が「Facebookにとって気がかりな存在」と形容するということは、Facebook幹部がこれに似た表現を使っていたと考えていいだろう。
FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏は、複数のSNSを使いこなすユーザーがほとんどいないことに、早い時点で気がついたという。ほとんどのユーザーにとって最も活発に利用するSNSが1つあるだけで、いずれほとんどのSNSは1つのSNSに統合される運命にあると、同氏は考えている。
このため特定の国の中で独占的な地位にいるSNSの牙城を切り崩していくことが戦略的に不可欠、というのが同氏の考えのようだ。トップSNSの地位をつかめていない国について、同氏はこう語っている。「半年や1年で勝てるとは思っていない。でも3年から5年のスパンなら可能性はあると思う」。
モバイルこそがFacebookの未来
では具体的にどのような戦略でmixiの牙城を切り崩していこうと考えているのだろうか。
Facebookの国際成長戦略担当のJavier Olivan氏は米SocialBeatの取材に対し、モバイルの領域で攻勢をかけていくという戦略を明らかにしている。Olivan氏は結構なやり手のようで、インド、ロシアを始め世界の携帯電話キャリア50社以上と提携し、携帯電話からFacebookをパケット料金なしで利用できるような特別な枠組みを次々と実現している人物。その同氏も日本の特殊性には少々手こずっているようで、取材記事の中で、クッキーと呼ばれるパソコン向けサイトでは一般的なユーザー認識技術が数カ月前までは日本の携帯電話では使用できなかった事実などに言及している。ただ最高のエンジニアをシリコンバレーから東京に連れてきてモバイルサイトの開発に全力を傾けていることを明らかにしている。
モバイル領域への傾注は、日本市場だけに限った戦略ではなく、Facebook自体がモバイル領域に向けて舵を切り始めたようだ。Facebookのモバイル事業の担当者であるErick Tseng氏は「われわれはモバイルこそが(Facebookの)未来だと考えている」と語っている。つまりモバイル領域にかなりのリソースを投入してくる考えだ。同氏によると、PCウェブ向けの開発者向けツールはすべてモバイル向けに今後4ヶ月以内に提供する考えで、その後はPCウェブ向けサービスにはないモバイルだけのサービスや機能の開発にも力を入れていくという。
実際にはケータイ3キャリアの一般的な携帯電話でアクセスできるモバイル専用サイトは以前から存在していた。ところが8月24日から、いろいろなところにこのモバイルサイトへリンクを張り積極的に誘導を始めた。積極的に誘導を始めたということは、いよいよ攻勢をかける段階になったということだ。
アクセスしてみたところFacebookのiPhoneアプリなどと機能的にはそれほど変わらないようだ。ただ日本のケータイサイトの特徴ともいえる若い女性が好きそうな動作のあるかわいいアイコンが並んでいた。このサイトが今後どのように進化していくのか、注目しておきたい。
若者に人気のmixi、新戦略を近く発表
さて本当にFacebookの思惑通りにトップSNSの座をmixiから奪い取ることができるのだろうか。
20代のユーザーの間では、mixiは相変わらず圧倒的な強さを誇っている。

日本人ユーザーの間でFacebookの利用がここ2、3カ月で広がっているという声を聞くようになった。ただウェブサイトの訪問者数データを比較できるGoogle Trends for Websitesを使ってみたところ、Facebookが急追しているようにはまだ見えない。

またミクシィは9月10日、mixi meetup 2010でmixiの新プラットフォーム戦略を発表する予定だ。
今後どのような展開になるのかは、この時点では予断を許さないが、ただFacebookとmixi間の競争が激化することでSNSの機能が急速に進化していくことは間違いない。広告、マーケティング関係者にとってもうかうかしていられない状況になりつつあると言えるだろう。
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