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無印良品のエンゲージメントマーケティング vol1

この内容は2014年06月16日にマナビトオンラインでリリースされた、良品計画現WEB事業部部長川名さまとメンバーズ執行役員原が、エンゲージメントマーケティングついて対談した内容の書き起こし文章のため、臨場感のある言い回しや文章表現になっております。ご了承ください。

対談写真


エンゲージメントってなに?

原:はじめまして。エンゲージメント・ファーストの原といいます。これから数回に分けて、ここに出ていますエンゲージメントマーケティングという、新しいというか、実は古いんですけれども、ここに書いているように古くて新しいマーケティングのことを皆さんと一緒に共有していきたいなというふうに思っております。こういったエンゲージメントマーケティング、後ほど少しお話ししますけれども、実践していらっしゃる弊社のクライアントさんをお呼びして一緒に語っていくっていうようなやり方をやろうと思います。第1回のゲストは良品計画の川名さんです。

川名さま:川名です。よろしくお願いします。

原:よろしくお願いします。1回目からありがとうございます。無印良品さんは、たぶん、これを見ていらっしゃる方の中でも利用者が多いんじゃないかなと思っておりますけれども、弊社も、もうかれこれ7~8年ぐらいお手伝いをさせていただいてて、実は無印さんにいろいろ教わることも多くて、今日お話しするエンゲージメントマーケティングも、ずいぶんといろいろ勉強させてもらいました。今日は、川名さんのほうに、いろいろその施策の考え方とか、実際におやりになったことをお話しいただいて、それを通じてエンゲージメントマーケティングっていうのを少しでも皆さんにご理解いただければなというふうに思っております。

原:エンゲージメントマーケティングっていう言葉を聞いた方はいらっしゃるかな、どうか分かんないですけれども、これから数回に分けてやっていきますけれども、そもそもエンゲージメントマーケティングってなんでしょう?川名さん、どうですか。

川名さま:エンゲージメントって普段、仕事の中ではあまり使わないんですけど、僕が思ってるのは、原さんとかもAppleとか好きだと思うんですけど、僕もファンなんですね。例えば、Appleとかでアンテナの不具合ってあったと思うんですね。そうしたときに、やっぱり僕にとっては、それは全く関係ない。それはなんでかと言うと、Appleはこれはそのうち改善するだろうっていうことが分かってるからなんです。なので、高いとか、安いとか、機能がどうとかっていうことじゃなくて、ブランドと人、あるいは人と人っていうところで、そういった絆をつくった状態、そこまでもっていくというやり方とかプロセス、そういうのがエンゲージメントになると思います。

原:そういうことをお考えになって、いろいろスタッフはやっていらっしゃるわけですね。

川名さま:そうですね。そうしてます。

原:はい(笑)。実は今日、いろいろMUJIの歴史からお話しいただこうと思っているんですけれども、企業カルチャー自身がやっぱりそうだというところですかね。無印さんって。

川名さま:そうですね。1980年にMUJIができたんですけども、当時、エンゲージメントマーケティングとか、そういう言葉はないんですけど、振り返ればそういうことなのかなと。

原:一応、川名さんのがたぶん正解だと思うんですけれども、Wikipediaにエンゲージメントマーケティングって出てるんですね。ここに出てます。ぜひちょっとご覧いただければというふうに思うんですけれども、後でネットででも検索していただいてですね。基本的にはやはり、単なる今までのリーチするだけではなく、お客様のほうにもっと深く関わっていただく。ブランドをもう少し一緒に育てていくとか、より積極的に、単なる受け手ではなくて、いろんなことに関与していくっていうことを推進するマーケティングの手法だというふうに考えております。従来型のマスマーケティングとか、ワントゥーワンマーケティングとか、ずいぶんいろいろ変化を遂げてきている中で、冒頭に申し上げましたけども、実は結構古い考え方なんですけれども、ソーシャルメディアがかなり伸びてきたというところもあって、最近はこのエンゲージメントマーケティングというのが注目されているということになります。


無印は西友の一商品開発、事業部の中から出てきた

原:今日は実際に、概論のお話をしてても、たぶんピンとこないと思うので、無印さんがどういうふうなお考えで、こういったエンゲージメントマーケティングというものを推進しているのか、そしてどういう結果をもたらしているのかということを、この後ちょっと対談しながらいろいろお聞きしようというふうに思っております。よろしくお願いします。

川名さま:お願いします。

原:出てきました。MUJIマーケティング3.0ですね。この辺りは、コトラーの本で『マーケティング3.0』っていうのがあるんですけれども、これはもう4年ぐらい前でしたっけ?一緒に。

川名さま:そうですね。ちょうど4年ですね。

原:MUJIもその当時は、川名さんの言葉を借りると、MUJIは0.3だったと、1.0にもなってなくて、それをMUJI3.0にもっていこうということで、こういうふうなタイトルを付けてやっているということです。非常に、このエンゲージメントマーケティングって、テクニカルに何かやればいいっていう話じゃないんですよね。非常にやっぱり大きいのは、会社のカルチャーみたいなところが重要になってきていますね。その辺りをちょっと無印さんのカルチャーから紐解こうと思っているんですけど。これはなんですかね?

川名さま:これは近江商人ですね。現在の滋賀の辺りですね。とても栄えた商人で、彼らの家訓として、三方よしというのがあります。

原:これですね。

川名さま:そうですね。ここに書いてありますけども、「売り手よし、買い手よし、世間よし」、三方よしということで。企業にたとえると、よい商品とかよいサービスを提供してお客さんに喜んでもらう。こういう2つの関係っていうのは当たり前なんですけども、彼らはこの当時から、そこで出た利益をさらに社会、世の中に還元をしていたっていうことで、橋をつくったりとか、あるいは学校をつくったりとか、やっぱりこの三角形がちゃんとしたバランスになることで、企業も存在意義を得ようということで、三方よしというのがあります。なんで無印がこの話かって言うと、当時、無印良品っていうのは、セゾングループの堤さんとクリエイターの田中一光さん、この辺の発案からできたんですけども、その堤さんの、そのときのセゾングループの最初の考え方にこういうものがあって、僕も当時入社のときにこの滋賀に行って、近江商人のお墓に手を合わせたみたいなこともやっています。

原:そうなんですね。なんか意味深なものが出てきてますけれども。

川名さま:そうですね。これは、無印は先ほど言ったように西友の一商品開発、事業部の中から出てきたんですけども、ある主婦の一言から無印が始まりまして、その商品会議の部屋の中で、ある主婦の方が「なんで缶詰のマッシュルームって端っこがないの?全部同じ形だよね」っていう、本当に素朴な生活者視点の一言がありまして。当時っていうのは、端の見栄えの悪いところというのは全部捨てていたんですね。でも、これはあくまで売り手の論理で、「それは見栄えが悪いから売れないんだ」っていうもとでもあり、そういう商品ばかりだったんですけれども、そういったその主婦の一言から無印のほうでは「そうか」と。目からうろこといいますか、使う人からしたら、そこも味は変わらないよねっていうことで、最初にできた商品の1つとして、ランダムスライスマッシュルーム。全部商品を切らずに入れて、その選別工程を省く代わりに、商品の価格を下げてお客様に提供しようという、これが無印良品の一番最初の商品になります。同じような考え方で、これは「こうしん、われ椎茸」という、これも同じで、確かに割れていても結局水で戻して使ったりするので、結果、今まではそれを選別して、きれいなものだけを使っていたんですけども、それをさっきのマッシュルームと同じ考えで、割れているっていうことが訳になって、商品として成立している商品です。

原:ほかにもいろいろあるわけですね。

川名さま:そうですね。そのような考え方で、食品が中心で生活雑貨を足して約40アイテムぐらいで、1980年にデビューしたのが無印良品です。

marketing3.0


ふとん屋さんに「こういうふとんをつくりたい」っていうふうに持っていくと、ふとん屋さんからは「それはあり得ない」

原:当時から、こういう考え方って理解されてたんですか?今はすごくそういう、エコっていうとちょっと使い古された言葉なんですけども、非常にこういう、まさに三方よしですよね。そういう考え方って、ある意味、消費者が身勝手だったりすると、あまり関係なかったりするじゃないですか。

川名さま:そうですね。当時はまだこういう考え方ってあまりなくて、そういう意味では、無印良品のこういった考え方、あとパッケージ。その辺が鮮烈に映って、非常にお客様から支持を得たと。

原:ふとんが出てきましたね。

川名さま:そうですね。これは僕が入社した当時に先輩から聞いた話ですごく印象に残ってるんですけども、ちょっと古いふとんのイメージですけど、これはふとんですね。これが青かったりとか、今でこそ珍しいですけど、こういうふとんがあって、無印良品でつくりたかったふとんっていうのは、こういうまっさらなふとんですね。結局、先ほどのふとんっていうのは、いろんな装飾が付いていたりするんですけども、結局はお客様が使うときってカバーを掛けて使ってしまうので、本当に、中身って結構シンプルで。その代わりカバーで、いろんな夏用だとか冬用だとか、あるいはインテリアに合わせて柄をつくってもらったりだとか、そういうふとんをつくりたかったんですね。今でこそ、こういう考え方って当たり前なんですけども、当時先輩から聞いた話だと、ふとん屋さんに「こういうふとんをつくりたい」っていうふうに持っていくと、ふとん屋さんからは「それはあり得ない」と。ふとんっていうのは、先ほどのああいうの、あれがふとんであって、これはふとんじゃないと。絶対に売れないっていうのが当時のメーカーさんの考え方だったんですね。なので、それを先ほど言ったように、「いや、お客さんっていうのは、中身はシンプルでいいんです。装飾はいらないんです。その代わりカバーを掛けて使うので、こういったふとんをつくりたい。その代わり値段を少しでも安く抑えたい」。こういうことを、無印良品って工場は持たないので、各メーカーさんにそういったコンセプトを1個1個伝えながら商品開発してきたっていうのが無印ですね。

原:自転車もそうですね。

川名さま:そうですね。自転車もそうですね。これも、家電も同じ。

原:これは、僕もすごく思い出深いんですけども。

川名さま:そうですね。そういう形で商品開発がどんどん進んでいって、これは今、246の青山学院大学の前の通りですね。今は屋号を変えてMeal MUJIっていう名前になっていますけども、そこに1号店ができたんですね。

原:何年ぐらいですか?

川名さま:これが、1980。

原:バブルで絶好調のときですけれども。

川名さま:そうですね。

原:そのときに、この寝具のほうにも。

川名さま:はい。

原:なるほど。


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カテゴリ: エンゲージメントマーケティング
2015年08月31日

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