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Creating Shared Value(CSV)価値共創の定義と条件(価値共創とは)【第二回】

初回コラムで「CSV」(Creating Shared Value)という概念が生まれた背景について書きました。今回は改めてCSVの定義を考えてみます。

「企業の本業と関連性の高い社会的な課題を解決しながら、持続的な企業利益を創出しようとする経営モデル、あるいはマーケティングモデル」(エンゲージメントファースト社)
この定義には、企業がCSVを事業化する際の必要条件をいくつか込めています。

1. 社会問題の解決プロセスに事業機会を見出すこと。

前回コラムに書いたとおり、利益に結びつかなければCSVではなくCSRのままです。CSVは社会的な課題を事業機会と捉えて戦略的に取り組むことで、CSR以上に積極的に取り組めるようするべく提唱されています。利益志向をもつことで自社の課題との接点を探る取り組みも真剣になり、全社レベルでの理解、協力も得やすくなるはずです。

2. 本業のノウハウが役立つ社会課題に着目すること。

経験の少ない新規分野で社会貢献と利益創出を両立させることは困難。本業の延長線上にある関連性の高い社会問題に着目することが大前提です。

3. 顧客に共感してもらえそうな社会課題を選ぶこと。

特に自社商品のロイヤルユーザーの意見に耳を傾けて、自社顧客に共感してもらえそうな社会テーマを選んでゆきます。顧客の関心を高め、積極的な意見を引き出しながら、協働意識の高い顧客層と社会問題を共に解決してゆくことで、エンゲージメント(絆)の強化を図ってゆきます。

4. 消費者、社会ニーズ、自社の利益を組み合わせて考えること。

消費者ニーズのみならず、社会ニーズにも自社のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)を照らし合わせれば、新たな事業や製品開発のインサイトが得られ、ブレイクスルーのきっかけを掴み易くなります。

5. 包括的な企業経営プロセスに組み込まれること。

持続的な利益創出に結び付けてゆくためには、課題解決の取り組みをマーケティング企画のみならず、社員研修や人事評価、サプライチェーンなど他の業務プロセスにも見直す必要が出てきます。実際、食品メーカーにとって自然環境や食糧難の問題では、社会の大義と生産活動(ある意味、環境破壊)の相反に直面し、営業や調達部門の評価指標を考え直さなければならないケースもあるようです。

6. 単なる寄付や慈善にとどまらないこと。

もちろん資金援助も貴重な社会貢献の一つですが、体力に余裕のある大企業主体になりがちですし、本業との関連も薄くなってしまいます。また景気動向により企業収益が悪化した場合には支援を断念してしまうリスクもあります。

コンセプトメイキング
「コンセプトメイキング 変化の時代の発想法」 高橋 宣行
を参考に株式会社エンゲージメント・ファースト加筆

顧客(消費者)、社会、そして自社という三者のニーズをつなげて考えることで新しいビジネスチャンスを生みだすという発想は、実は日本人には元々馴染み深い考え方です。日本三大商人の1つ、近江商人の行動哲学である「三方よし」=「売り手よし、買い手よし、世間よし」に通じるものがあります。売り手の都合(企業の便益)だけでなく、買い手を満足させ(消費者の便益)、さらに地域社会の発展(社会の便益)にも貢献しなければ、長期的な商いは成り立たない。前回説明した戦後マーケティングからCSVまでの歴史が最終的に「三方よし」の哲学に辿り着いたかのようです。CSV「共有価値の創造」という極めて日本的な商道徳に近い考えが、次世代の経営戦略として唱えられたことからしても、日本企業にはまだまだ大きな飛躍のチャンスがあるように思えます。

次回からはCSVの展開分野を整理して、先進的な取り組み事例を紹介してゆきたいと思います。


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■コラム執筆者
株式会社エンゲージメント・ファースト
グループ長 兼 チーフ・エンゲージメント・ストラテジスト
統計士・データ解析士
渡辺 弘

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「意義あるよい事(Social Good)」を、企業・顧客・関係者との共創(エンゲージメント・マーケティング)により、マーケティング革新を起こし、社会課題の解決とビジネス目標の達成を実現します。

カテゴリ: Creating Shared Value(CSV)
2014年02月17日

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